Inrixは今週、全世界に向け、次の交通渋滞の発生を予測する新技術の発表を開始する予定だ。しかし、その技術を開発したのはInrixではない。
それどころか、シアトルを拠点とする新興企業のInrixが売り出す同社の中核技術は、全てMicrosoftの研究所で開発されたものだ。たしかに他企業の研究所は長年、社内では不要な技術を新興企業に供与してきた。しかしMicrosoftには過去にそのような例はなく、Inrixとの契約は同社が自社の研究ノウハウを他社にライセンス供与した初のケースだ。
「われわれは今でも、Microsoft Researchの技術をMicrosoft独自の製品に活用したいと考えている」と語るのは、Microsoftの知的財産部門の事業開発担当ディレクター、David Kaeferだ。同氏はさらに次のように続けた。「(Microsoft Researchが)開発する技術の中には、大変素晴らしいが、われわれの中核事業の構想外の技術も含まれている。」
Microsoftによると、そのような素晴らしいアイデアをお蔵入りにするくらいなら、他社にライセンス供与して有効に活用してもらい、同社も多少の利益を上げる道を模索するという。Kaeferによると、これまでもXeroxやBell Labsなどがこのように、自社技術を他社に供与してきたという。
またMicrosoftは、自社技術を小規模な企業に供与したいという意思を外に示そうとしている。同社は1年以上前に知的財産権のライセンス供与を行う大規模な取り組みを立ち上げたが、わずかな数の契約についてしか発表してこなかった。
「この種の契約は、世界のSymbiansやNokiaといった、大企業と結ぶのが普通だ」とKaeferは語る。
しかしKaeferによると、Microsoftではおよそ6名のスタッフが、新興企業や小規模企業との連携に力を注いでいるという。
Inrixのほかにも、Microsoftは同社が開発したフォントの一部をAscenderにライセンス供与すると発表した。Ascenderは1年前にイリノイ州エルクグローブに設立された新興企業だ。またMicrosoftは、Windows Connect Nowプログラムのライセンス供与を行うための広範な計画を発表した。同プログラムは安全なホームネットワークを簡単に構築できるように設計されたものだ。しかし、同プログラムを簡単に動作させるためには、各機器メーカーはそれを自社製品に組み込む必要がある。Kaefer によると、Microsoftは、Windows Connect Nowの使用を希望する企業に対し、1回限りのライセンス料として、やや低価格の5000ドルを課金するという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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