ノートPCや携帯端末のことは忘れてしまおう。
今から20年後には、家庭のバックエンドシステムと連携する認証デバイスが1台あれば、誰かと通信したり、計算処理を行ったり、情報へアクセスするといったタスクをすべてこなせるようになる・・・。
これは、マサチューセッツ工科大学(MIT)と台湾のハードウェアメーカーQuanta Computerが研究開発を進めようとしている数多くのシナリオの1つに過ぎない。両者は米国時間8日、今後5年間で2000万ドルの資金を投入し、次世代の計算処理/通信用装置の開発を進める共同プロジェクトに合意した。
「TParty」という名前が与えられたこの取り組みで、両者は、MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(CSAIL)による研究の成果と、ノートPCやサーバを中心としたハードウェアのマーケティングに関してQuantaが培ってきた経験とを組み合わせることを狙っている。CSAILのディレクターRodney Brooks教授によると、この提携の最終的な目標は、従来の考え方を越えたデバイスの融合方法を見つけ出すことだという。
「今日さまざまなデバイスが存在し、それらがありとあらゆる方向に向かっている。われわれはいま、これら全ての先にある未来のデバイスが、実際にどのような姿になるのかを考えている」とBrooks。「現在ではみながノートPCを持ち歩くようになっているが、20年前にはほとんど誰もそんなふうになるとは想像していなかった。それと同じように、人が20年後にも今日と同じようなデバイスを持ち歩いているとは予想できない」(Brooks)
TPartyでは、既存のハードウェアデザインに、情報転送、デバイスコンフィギュレーション、セキュリティその他の改善手法に関する新しい考えを融合していく。Brooksによると、CSAILではこの共同研究の下で、MITの学部生や大学院生、教員による30のプロジェクトを進める予定で、一段と柔軟で順応性のあるデバイスを開発するための「仮想計算処理環境」を解き明かすさまざまな手法を研究することになる。
Brooksは、TPartyについて「これは単純な融合型デバイスの開発を超えたものであり、デバイスの設計からアプリケーションの書かれ方に関するソフトウェアモデルまですべてを一から見直す。この夢を実現するには、さまざまな階層の検討が必要だ」と述べている。
TPartyでは最終的なゴールとして、「スマートデバイスやセンサーが至るところに存在する世界のなかで、各種の情報サービスを開発しそれをシームレスに届けるための、複数の開発システムを新たにつくり出すこと」を掲げている。同グループはこの目標を達成するために、現在のコンピュータや通信機器の基盤となっている技術的なインフラをエンジニアリングし直す実験を行うとともに、情報の管理や利用の方法に関する新しい方法を探っていくとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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