将来も技術界のリーダーであり続けられるのかを心配する米国IT業界に、悪いニュースが舞い込んできた。先頃、開催された国際プログラミングコンテストで、米国から参加した大学の順位が以前より後退したのである。
Association for Computing Machinery(ACM)が主催する International Collegiate Programming Contest(国際大学対抗プログラミングコンテスト)の最終戦が米国時間7日に行われ、イリノイ大学が他校と並んで17位となった。これは29年間の歴史を持つ本大会で米国からの参加校がつけた最上位の順位としては、最低の成績だ。
今年1位を飾ったのは中国の上海交通大学で、これにロシアのモスクワ国立大学とセントペテルスブルグ国立精密機械・光学研究所(IFMO)が続いた。本大会における過去約10年間の傾向として、アジアや東欧からの参加校が徐々に上位につけるようになっている点が挙げられる。米国の大学はカリフォルニア州のハービーマッド大学の学生が世界一に輝いた1997年以来、一度も1位になっていない。
ACMのプレジデントでカリフォルニア大学バークレー校のコンピュータサイエンスの教授David Pattersonは「かつては米国がこの手のプログラミングオリンピックの上位を独占したものだ」と言った。「いまや、米国は後れをとりつつある」(Patterson)
Computing Research Association(CRA)会長のJim Foleyは、米国人学生の成績が振るわなかったのは、全般的に米国が技術分野で世界のライバルに遅れをとっていることを示す危険信号だと言う。CRAとは大学学部や研究所、専門家からなる組織だ。
ジョージア工科大学コンピューティング学部の教授でもあるFoleyは「CRAはかねてより、技術分野における米国の国際競争力について懸念を表明してきた。コンテストの結果は、心配していたことが現実に起きていることの証左だ」と言った。
最近の他のさまざまな展開からも、技術分野の主導権がシリコンバレーをはじめとする米国内の現場から、中国、韓国、インドといったアジア諸国にシフトしていることが読みとれる。米国のIT企業が研究開発活動の一部をアジアで行うようになっていることも、こうした傾向を表す1つのサインだ。
米国の教育制度に問題があるとも指摘される。IntelのCraig Barrettを含むIT業界のリーダーらは、米国のIT業界に影響の大きい問題として教育制度を挙げている。ドットコムバブルの崩壊や、業務の海外移転などの影響もあって、米国ではコンピュータサイエンス関連の学部を志望する学生が減少している。
また、米国の大学院に入学する海外から学生が減少していることも問題視されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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