一部の開発者が、GNU GPL (General Public License)の第3版公開に際して、フリーソフトウェアの世界が分割されるでのはないかと懸念している。だが、Free Software Foundation(FSF)は、心配には及ばないとこれを一蹴した。
FSFは、GNU GPLの次期バージョンがリリースされても、フリーソフトウェアプロジェクトが分割されるリスクはないと述べている。
ここ数週間の間に、さまざまなプロジェクトに参加しているフリーソフトウェアの開発者らが、GPLの次期バージョンに関する懸念を表明している。OpenOffice.orgのボランティアDaniel Carreraは、Debian Linuxディストリビューションの公式メーリングリストに投稿し、Linuxは現行のGPL第2版の元で配布されているので、第3版が公開されれば、何らかの問題が起きる可能性があると指摘している。
「Linuxは、GPL第2版にのみ基づいて配布されていると、わたしは認識している。Linuxの開発には無数の人々が関わっているが、GPL第3版の公開後、すぐにLinuxをこれに準拠させられるかどうか、はなはだ疑問だ」と、Carreraは投稿に記している。
Debianの保守管理を行うMatthew Palmerも同様の問題を認識しており、GPL第3版が公開されれば、一部のフリーソフトウェアプロジェクトが枝分かれするかもしれないと心配する。「GPL第3版のリリースとともに、プロジェクトにまとまりがなくなるおそれがある」(Palmer)
Palmerは、一部の開発者は、製品ライセンスにGPL第2版もしくは第3版のどちらかのみを選択し、ほかの開発者は複数ライセンスの適用を考えるかもしれないと指摘している。この結果、各種プロジェクトが「ライセンス互換のない枝分かれ状態」(Palmer)となる可能性があるのだ。
これを受け、FSFの法律顧問Eben Moglenは米国時間24日、GPL第3版はLinux開発者と協力しながら開発するので、ライセンスの移行に問題は生じないと述べた。
「問題が起こるとは考えていない。FSFが作業を終え、GPL第3版のDiscussion Draft(検討用試案)を作成した後、公示期間を延長して広く意見を募る予定だ。人々が望む限り、意見を聞こうと思っている」(Moglen)
Moglenによれば、GPL第3版には、各国の著作権法や特許侵害を考慮に入れた変更が追加されるという。
またMoglenは、GPLは「数十億ドル規模の産業」を支える基盤であり、その次期バージョンに大きな関心が集まるのも無理はないと語る。「これほど大きな市場になると、関係者も増えるし、興味を持つ人も多くなる」(Moglen)
Moglenは、GPL第3版のリリース時期は特定できないとしたが、2006年か2007年には公開される見込みだと述べている。GPL第3版が利用可能になれば、だれもがその結果に満足するだろうと、Moglenは自信をのぞかせた。
「GPL第3版が公になれば、人々は『前のものよりいいじゃないか。内容もそれほど変わらない。あの大騒ぎは何だったのだろう』と言うはずだ。わたしたちは自分たちの仕事を熟知しており、心配は無用である」と、Moglenは話す。この発言は、同氏の以前の話に呼応している。Moglenは、リリースまでの過程では「非難の嵐が吹き荒れることもあるかもしれないが、すべてが終わったとき、やはりこれで正しかったのだと理解してもらえる日が来るだろう」と述べていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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