Microsoftが発表した開発ツールの価格体系に対して、一部顧客から不満の声が上がっている。Microsoftは小規模企業や個人プログラマに対し割高な料金を設定しているというのが、その内容だ。
Microsoftは米国時間21日、今年後半に出荷予定の「Visual Studio 2005」の各エディションについて、詳細な説明を行った。Microsoftは同開発ツールの提供開始と相前後して、開発者に定期的に製品アップデートやサポート情報を提供する「Microsoft Developer Network(MSDN)」サービスのサブスクリプション体系も一新する。
同社の幹部は、今回の変更を行った理由として、ユーザーがVisual Studioの製品ラインアップのなかから必要なエディションを簡単に選択できるようにすることと、小規模企業がより簡単にMSDNにアクセスできるようにすることを挙げている。
だが、小さなコンサルティング企業や独立系ソフトウェアベンダーで働く開発者らは、新しいサブスクリプション体系は割高だと相次いで不満を漏らしている。この傾向は「Visual Studio Team System」を購入する場合に特に顕著だと、開発者らは言う。
Visual Studio Team Systemは、開発プロセスにおけるさまざまな段階で利用される製品を集めたもので、ライフサイクルツール分野における同社初の製品となる。
MSDN Product Feedback Centerのページには、ライセンス体系の変更を求めるユーザーからの投稿が掲載されている。ここには次のように書かれている。「Microsoftが開発プラットフォームで成功するためには、われわれのような小さな企業に、製品を安く提供する必要があると思う。Microsoftがこれまで開発ツールで成功を収めてきたのも、われわれのような開発者が大企業に、ツールの効率性を口コミで伝えてきたからだ」
Visual Studio Team Systemでは、アーキテクト、デベロッパー、テスターという異なる仕事をするクライアントを対象に、3つのエディションが用意される。また、ソースコードの管理や、プログラマ同士の連携を助けるサーバコンポーネントも、オプションで提供される。
Visual Studio Team Systemは、MSDNサブスクリプションとは別に提供される予定で、価格は2799ドルとなっている。他のVisual Studio製品の場合は、サブスクリプション価格に製品価格が含まれている。
Microsoftの開発部門でリードプロダクトマネージャを務めるPrashant Sridharanはインタビューの中で、Microsoftのライフサイクル製品スイートは、IBMやBorlandのような競合が提供する製品と比較するとかなり割安だと述べた。
コストに不満をもつユーザーがいることに対して、Sridharanは、「Visual Studio Team System」のサーバコンポーネントは主に大企業をターゲットとしていると述べた。
「製品に対する不満は理解している。だが、この製品は、中規模および大規模な企業向けに開発されている」とSridharanは述べる。「Microsoftには収益を生む事業を遂行する権利と責任がある。Microsoftはこれまで、顧客に対する責任を果たしながら、これを実行してきたと思う」(Sridharan)
その一方で、独立系コンサルタントJeff Putzは「Visual Studio 2005」の低価格なエディションには、一流のテストツールが含まれていないと述べる。
「私は、他の多くの開発者と同様に、アプリケーションの開発プロセスにおいて、たくさんの役割を果たす必要がある。本当に必要なものを手に入れるには、MSDNサブスクリプションを2つ以上購入しなければならない。同じような不満をもつ開発者は多いはずだ」(Putz)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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