IBMが、1台のコンピュータで同時に複数のオペレーティングシステムを動かせるようにする仮想化ソフトウェアのソースコードを密かに公開した。
だが、この影響で、仮想化ソフトウェアを提供するIBMのライバル企業が淘汰される可能性は低いだろう。
IBMが、「Research Hypervisor」(rHype)のソースコードを自社ウェブサイトで公開した。これにより、誰もが、この分野におけるIBMのアプローチを研究できるようになった。rHypeの特徴として、さまざまな種類のプロセッサに対応している点が挙げられる。rHypeは、IBMのPowerファミリーや、IntelのXeonなどのx86系プロセッサ、さらにはIBM/ソニー/東芝が共同開発したCellなどにも対応している。
rHypeは、MicrosoftのVirtual ServerおよびEMCのVMwareという市販の2製品のほか、オープンソースのXenソフトウェアと競合する可能性がある。
しかし、rHypeの特徴やIBMのこれまでの行動を考えると、rHypeはXenの役に立つことはあっても、障害になることはないと思われる。特にrHypeは、Xenを現行のx86系プロセッサだけでなく、IBMのPowerプロセッサにも対応させるうえで役立つだろう。
Xenプロジェクトのリーダーを務めるIan Prattは「われわれは、rHypeの開発者たちと時間をかけて話し合ってきた。rHypeがオープンソースとして公開されたことを受け、われわれもXenでのPower対応に向けて素晴らしいスタートを切れる」と語っている。
rHypeとXenのいずれのパッケージにもGNU GPL (General Public License)が適用されているため、rHypeをXenに直接組み込むことが可能だとPrattは述べる。また、IBMのプログラマもXenプロジェクトに参加するなど、IBMも積極的な姿勢を見せている。
Pund-IT ResearchのプリンシパルアナリストCharles Kingは、Xenを支援することはIBMにとって理にかなっていると述べる。
「IBMがオープンソースや仮想化ソフトウェアに関心を寄せていることを考えると、これは当然の流れのように思える」(King)
IBMは、仮想化ソフトウェアの分野では長い歴史をもつ。同社の仮想化ソフトウェアは数十年前からメインフレームをサポートし、その後、PowerベースのUnixサーバにもサポート範囲を広げている。だが、IBMはx86サーバに関しては、独自技術を市場に投入するのではなく、VMwareと提携する道を選んでいる。
IBMは、rHypeの大半の詳細についてはコメントを控えている。しかし、IBMで、IntelアーキテクチャのxSeriesサーバを担当するCTOのTom Bradicichは米国時間22日、IBMがrHypeを製品化する可能性は低いと述べた。
「可能性がゼロとは言い切れないが、現時点では製品化を考えていない」(Bradicich)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」