企業が市場に投入した自社製品をあれこれいじっている間に、一度はソフトウェア開発の最終形態と見なしたベータ版が独り歩きを始めることがある。
Googleの共同創業者Larry Pageは米国時間9日、ソフトウェア開発におけるこうした傾向について言及し、エンジニアが製品に大きな変更を加えようと意図する限り、そのベータ版あるいはテスト版は存続すると、投資家に語った。こうしたプロセスは、ときには何年も続くことがある。
「これは誰にも予測がつかないものだ。明日にでも全製品からベータの文字を取ることもできる。しかし、そうしたところで何の成果も上がらないだろう。5年間にわたって変更を加えていこうと考えているならば、ベータ版が5年間存続していても問題はない。つまり、さらなる開発を意味するメッセージであり、企業のブランディングでもあるのだから」(Page)
Googleはベータ版の公開期間を、かつてないほど長くとるようになっている。かつては、ベータ版の公開期間は、製品を市場に正式投入する前に致命的な欠陥を見つけ出し、最終調整を施すためであった。
ベータとはギリシャ文字の2番目に来る文字で、このことからベータ版というと通常はソフトウェア検証作業の第2段階にあるものを指す。ベータ版は従来、ラボでテストが行われるアルファ版のあとにリリースされ、限られたテスターたちに配布される。
だが近年、複雑なアプリケーションは、パッケージ化されたり、ダウンロードソフトウェアとして提供されたりするよりも、ウェブサイトを介してユーザーに配布されるようになった。これによって、ベータ版の検証はより長期に及び、開放的かつ日常的になってきた。
「ここ3年で、こうした傾向は顕著になった」と話すのは、オンライン写真サイトFlickrの共同創業者兼マーケティングチーフのCatarina Fakeだ。同社のアプリケーションのベータ版は、10日に公開1周年を迎えた。「3年前には、ベータ版をウェブサイト上で見かけることは、あまりなかった」(Fake)
Pageも認めているとおり、Googleもまたベータ版の膨大な量と長い公開期間で知られている。Google Catalogsのベータ版は2001年からあるし、Google News、Froogleのベータ版リリースは2002年だ。
また最近、Googleはウェブベースの電子メールサービス「Gmail」に変更を加えたが、これがベータ版もいよいよ最終段階に到達したのではないかという憶測を呼んでいる。
Googleやその他の企業のベータ製品存続期間が、何年にもわたって続いていることに不満をもらす人々もいる。完成型と未完成型を区別する明快な基準がどんどん曖昧になっていくというのが、その理由である。
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