Free Software Foundation(FSF)は、欧州政府に対して、Microsoftが提案したサーバのライセンス案を拒否するよう働きかけている。この案は、独禁法をめぐって欧州委員会が下した裁定を受け、同社が提出していたもの。
FSFによると、Microsoftの条件では、広く利用されているSambaファイル/プリントサーバソフトウェアなどのオープンソースソフトが、EUの意図した互換性確保の手段に含まれないことになってしまうという。
Microsoftは先週はじめに、昨年下された独禁法の裁定を覆すことはあきらめていないが、独禁法の制裁内容を即座に履行するよう求めるEC裁判所命令については上訴しないと述べた。Microsoftは同裁定に従うため、サーバソフトウェアのライバルメーカー各社が、WindowsのクライアントおよびサーバOSとの「完全な互換性を実現する」アプリケーションを開発するためのライセンス供与を認めることに同意していた。EUの説明によると、このライセンスは「妥当かつ非差別的な条件」で認める必要があるという。
Microsoftのウェブサイトで公表されているライセンス情報によると、提案されている「WSPP Development Agreement」というライセンスでは、ライセンシーがサーバプロトコルを実装する目的でMicrosoftの技術文書を使う権利を認めてもらう場合は、Microsoftに著作権料を支払う必要があるという。
しかし、FSF Europeの代理人を務めるミラノの法律事務所、Tamos Piana & PartnersのパートナーCarlo Pianoによると、この条件はフリーソフトウェアの考え方とは相容れないもので、FSFは、ECがMicrosoftに対して修正を求めることに期待しているという。
「この条件は不当であり、フリーソフトウェアに対する差別だ。(General Public Licenseを利用する)製品がこのライセンス条件を満たすことは不可能だ。われわれは現在、欧州委員会に働きかけてこれを修正させようとしている」(Piano)
Pianoによると、Microsoftのこのライセンス条件では、販売される製品1本ごとに著作権料の支払いを求めており、またライセンスされた情報を使って開発されたプログラムはオープンソースでなくなると規定されているため、各フリーソフトウェア組織にとってこの契約条件を受け入れることは不可能だという。
同氏は、この条件が特にSambaに大きな影響を与えることになると述べた。Sambaは、WindowsのファイルやプリンタをUnixとLinuxの両システムで共有できるようにするオープンソースソフトウェア。
「この契約では、1コピーごとにライセンスが必要になり、製品を販売するときは必ず著作権料を支払わなくてはならないことになるが、配布されるソフトの数を管理する手段がなく、配布された数も分からないSambaでは、こうしたやり方は無理がある」(Piano)
Pianoによると、もしSambaがこのライセンス契約を結べない場合、Microsoft製品との互換性維持が難しくなってしまうという。「何種類ものOSがNTや2000のサーバにアクセスできるようにするための選択肢は、今のところSambaしかない。このライセンス条件では唯一の選択肢が締め出されてしまう」(Piano)
Microsoftは、このライセンスをだれにでも供与すると明言しているが、ただしその全文をBuilder UKに見せてはいない。「このライセンスでは、だれにも同じ条件--つまりライセンスを受けたい場合はだれでも自由に受けてかまわないという条件を提示している」(Microsoft関係者)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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