米国時間16日、RFID(無線ICタグ)技術の標準仕様が最終承認され、ここで使われる知的財産はロイヤリティーフリーで提供されることが決定した。
RFID機器の信頼性を向上させる目的で検討されてきた標準仕様の「EPC(Electronic Product Code Generation)2」が米国時間16日に最終承認された。RFIDは、最終的にバーコードに取って代わるといわれる無線追跡技術。RFID業界の関係者からは、同仕様にRFID機器メーカーIntermec Technologiesの特許技術が組み込まれるのではないかという不安の声が上がっていた。
標準仕様の内容やロイヤリティーの問題は、Philips SemiconductorやTexas Instruments(TI)など、数多くの技術企業に影響を及ぼす。同仕様をロイヤリティーフリーで提供するとの今回の決定を受けて、多くの企業が安堵のため息をついたことだろう。これらの企業は、Wal-Mart StoresやTarget、Albertsonsなどの大手小売業者が大規模なRFIDプロジェクトに取り組み始めたことを受け、RFIDに対応したハードウェアの生産量を増やしてきた。
標準仕様が新しく策定されたことは、大手小売業者や製品納入業者にとっても嬉しいニュースのはずだ。導入時に必要となるテスト工数やバグの数が減少するからだ。
標準仕様の策定に取り組んだEPC Global USのプレジデントMike Merandaは、「この仕様のおかげで小売業者は、RFIDをサポートするのにかかるコストを削減できる」と述べ、「また、小売店に製品を納入するサプライヤー各社のコスト削減にもつながる。相互運用性が保障された、高性能な機器を利用できるからだ」とMerandaは続ける。
同仕様は、国によってRFIDで利用するUHF(Ultra High Frequency)帯域が異なるという問題にも対処するほか、電波干渉を回避し、数百万単位のタグを利用する大規模プロジェクトにも対応するように設計されている。
同仕様は、これまでに策定された複数の標準仕様に取って代わる存在だ。以前の仕様では、ハードウェア同士の相互運用性を確保できないことが問題になっていた。現在、RFIDタグとリーダーの間の無線通信で利用されているプロトコルはさまざまで、それぞれが競合している。各メーカーが共通のプロトコルに準拠したリーダーやタグを提供すれば、違うメーカー同士から提供されたリーダーやタグを使った運用が可能になる。
一方、RFIDのロイヤリティープログラムを続けるIntermecでは、多くの企業が、例え義務づけられていなくても、ライセンス契約を結んで同社の技術を利用しようとする可能性があるとしている。Intermecは今でも、同社の特許技術を組み込んだ各種のRFIDハードウェアに対し、5%〜7.5%のロイヤリティーを課す計画を変更していない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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