Linux開発者のLinus Torvaldsは欧州閣僚理事会(EU Council)に対し、欧州でソフトウェア特許の取得を認める指令に反対する声明を発表した。
Torvaldsと、MySQLの共同創業者Michael Widenius、PHPの作成者Rasmus Lerdorfの3人は23日に反(ソフトウェア)特許のウェブサイト上で声明を発表し、その中で、ソフトウェア特許を合法化すべきでないと訴えた。
Torvaldsら、オープンソース界の3人の指導者は、「欧州の利益のために、そのような欺まん的で、危険で、非民主的な案を加盟国の共通の立場とすべきではない」と述べ、さらに「技術革新を促し、ソフトウェア市場における競争を維持するために、われわれは欧州連合(EU)がこの機会にソフトウェアを特許の対象から除外することを強く希望する」と語った。
Torvalds、Widenius、Lerdorfの3人からすぐにコメントは得られなかったが、MySQLの共同創業者であるDavid Axmarkによると、3人は同氏に宛てたメールの中で声明に関する言及があったという。
声明の中でTorvalds、Widenius、Lerdorfの3人は、「コンピュータを使った発明の特許取得に関する指令(Patentability of Computer-Implemented Inventions)」という名称で知られるソフトウェア特許指令の危険性について説明した。その中には、ソフトウェア特許は欧州経済に打撃を与えかねないとの懸念も含まれていた。
3人は「ソフトウェア特許は、経済全般、とりわけ欧州経済にとって危険である」とし、さらに次のように続けた。「著作権はソフト開発者にとって役立つが、特許は作品の独自性を奪う可能性がある。著作権は誰でも利用可能である点で公平だ。ソフトウェア特許体制は、強者のための法を作ることになり、最終的に公平性よりも不公平をさらに助長させるだろう」
また3人は、5月の草案をEUが採決するのは、非民主的な行為だと指摘した。その理由は、EU加盟国が投じる票の価値が変更され、最初の案を支持したメンバーはもはや過半数ではなくなったためだ。
ソフトウェア特許に反対するウェブサイトを開設したFlorian Muellerは、3人がこの時期に声明を出した理由について、今週、EU議会が召集される予定で、同議会は指令の修正案を早期に正式採用しようとしていることから、今は極めて重要な時期にあるため、と説明する。
先週、ソフトウェア特許反対運動に追い風となる出来事があった。ポーランドが特許指令の支持を撤回したのだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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