Microsoftは1985年に表計算ソフトExcelを発売したが、実は今年4月まで同製品名の正式な商標登録を行なっていなかったことが分かった。
Microsoftの広報担当、Stacy Drakeによると、同社は今年4月にExcelの商標登録出願を行なったが、Excelという製品名はすでに、いわゆる「コモンロー商標」によって保護されているという。それでも、Microsoftが米国特許商標局(USPTO)に正式に商標登録した理由として、「大事をとるに越したことはないため」とDrakeは説明する。
今回の商標登録出願は、現在、数多くのソフト製品名に「Excel」の名が使用されているという事実とも関係している。Savvysoftというニューヨークの会社が開発したTurboExcelという製品もその1例だ。Microsoftは最近、Savvysoftに製品名の変更を求める書簡を送付した。Drakeによると、同社は他にも、Excelの商標侵害の件で多くの企業に接触したという。ただしDrakeは具体的社名は明らかにしなかった。
Savvysoftは今年6月にTurboExcelを発売した。このTurboExcelは、Excelで作成した表計算シートを別のフォーマットに変換し、Linuxオペレーティングシステム(OS)上で開けるようにするというもの。MicrosoftはこのTurboExcelの機能を問題視して、同製品を槍玉に挙げている、とSavvysoftは考えている。
Savvysoftのマーケティング担当ディレクター、LeeAnn Chenは、「我々は、Microsoftが商標権侵害について心から憂慮しているわけではないと考えている」と述べ、さらに「Microsoftが我々の製品を槍玉に挙げるのは、我々の製品の機能が気に入らないからではないかとの疑念を抱いている」と語った。
これに対して、Drakeは別の見方を示した。
「商標だけが問題なのであって、その他の事情は一切関係ない」とDrakeは述べ、さらに「その企業が何をしているかは問題ではない。問題なのはあくまで製品名だ」と付け加えた。
Chenは、Microsoftはこれまで全く(Excelの)商標権を行使しなかったのだから、同商標はすでに無効ではないか、と語った。
Microsoftの商標リストを見ると、意外なことに、OfficeやWordといった、最も知名度の高いいくつかのブランド名は、正式に商標登録されていないことがわかる。おそらく、これらの製品名もコモンロー商標によって保護されていると思われる。 ExpertLawという法律関連の情報サイトによると、このコモンロー商標は、一般の人がある名前を聞けば、特定の製品やサービスを思い出す場合に成立するという。
Microsoftは同社のサイト上に、ExcelやWordなど、Officeスイート製品に含まれている製品の商標および名前の使用についての案内を掲載している。
同社はこれまでに商標関連でいくつかの論争に巻き込まれたことがある。7月には、LinuxディストリビュータのLindowsと争っていた2年越しの訴訟を終わらせるために、2000万ドルを支払ってLinidwsの社名を変えさせた(それによりLindows新たにLinspireの社名を名乗ることになった)。
また、今年1月には、MikeRoweというカナダ人の少年に対し、MikeRoweSoft.comをいうドメイン名の支配権を引き渡すよう求めたが、この際に提示した金額がわずか10ドルだったため、大きな波紋を呼んだ。Roweはこの話をメディアに明かすなど抵抗を試みた結果、Xboxや新サイトの設定、家族同伴の旅行--行先はワシントン州レドモンドにあるMicrosoft Research--などの代償を勝ち取った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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