世の中には、人の名前よりもその人の顔のほうを良く覚えている、という人がいる。複数の大学の研究者らがつくるあるチームが、この現象をPCに応用するソフトウェアを開発中だ。
「VisualID」は、Wordファイルや表計算ファイルをグラフィカルな--そして概ね抽象的な--アイコンでタグ付けし、人間がよりスピーディーに見つけられるようにする実験プログラムだ。
たとえば、ポップアーティストのPeter Maxが描いたような雪の絵が、組織の所属人員リストを記した文書を表し、帽子をかぶったダックスフントのイラストが家計費ファイルを表すアイコンになる、といった具合だ。
人間は単語よりも絵のほうが記憶しやすく、(全てのMicrosoft Word文書に一貫してつけられる「W」のように)一般的なアイコンよりも、特徴のある個別の画像のほうが簡単かつスピーディーにナビゲートできるというのが、VisualIDの根底にあるアイディアだ。
「我々の視覚脳は、我々が見るもの全ての様相を『吸い上げる』。それには努力も、意識的に考えることも要らない。我々は常に、ただそうやっているのだ」と南カリフォルニア大学(USC)の研究者でこのプロジェクトの(研究論文の)筆頭著者でもあるJ.P. Lewisは、メールでのインタビューで述べている。このプロジェクトには、USCとマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが参加した。
よりよいデスクトップナビゲーションの探求は、コンピュータ産業が誕生した頃から続いてきている。マウスやグラフィカルなアイコン、ディレクトリなどは皆、PCの操作を簡単にするために考案されたものだ。ごく最近では、GoogleやApple Computer、Microsoftなどの企業が、ハードディスク内にあるファイルを見つけ出すための検索ツールをリリースする計画を発表している(ただし、Microsoftは先ごろ同社のプロジェクトを延期した)。
VisualIDの魅力は、馴染み深いグラフィカルなアイコンという概念と、人間心理の回路を利用している点だ。このプログラムは、テキストによるファイル名を補うもので、それにとって替わろうとするものではない。
大企業向けにウェブサイトの分析サービスを行うiPerceptionsの最高経営責任者(CEO)Jerry Tarasofkskyは、「視覚情報は常に役に立つ。靴を探しているときには、アイコンのほうが『靴』という文字よりもはるかに分かりやすい」と述べている。
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