米研究所、10ナノメートルの動きを裸眼認識できるモーションセンサーを開発

Michael Kanellos(CNET News.com)2004年10月04日 16時59分

 サンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)が、従来の技術よりも1000倍優れているというモーションセンサーを開発した。これを使うと地震の研究や乗り物の設計といった作業のパフォーマンスが飛躍的に向上するという。

 現在のところ実験段階にあるこの装置を使うと、10ナノメートル動いた物体を裸眼で確認することが可能になる。1ナノメートルは1メートルの10億分の1にあたる長さで、人間の毛の太さの約9000分の1に相当する。通常は人間の視覚で感知することはできないサイズだ。

 「非常に感度がいい装置を、非常に安く小さく作ることができれば、応用範囲は格段に広がる。例えば、小型で同期化された安いセンサーを一定区間ごとに設置して、そこから同時にデータを集める仕組みを作れば、地震が起きない場所で地球の動きを測ることができる」と同研究所の研究チームを率いるDustin Carrは述べる。

 その他にも同装置は、自動車のトラクションコントロールやパイロットの自動操縦システムなどにも応用することができる。

 マイクロ電子技術システム(MEMS)と呼ばれるこの装置はシリコンから作られており、光のパターンの小さな変化を感知することで機能する。2本の「くし」のような構造をしており、その2本のくしの間をレーザー光線が通過する仕組みになっている。下部のくしは一箇所に固定されているが、上部のくしはバネによって取り付けられている。

 振動が発生すると上部のくしが動き、光のパターンが変化する。同研究所によると、感知した振動が小さくても、それが比較的大きな光のパターン変化として反映されるため、物体の動きを検出することが可能になるという。

 同研究グループは、フィラデルフィアで10月に開催されるSPIE Optics East会議で、研究成果を詳しく発表する予定だ。

 大企業や研究者らはここ数年、MEMSのコンセプトを普及させようと挑んできた。現在のところ、この技術は車のエアバッグの加速度計など一部の商品にしか応用されていない。しかし、シリコン製造技術が進歩するにつれ、市場に受け入れられる、より洗練されたマシンの開発が進みつつある。

 例えば、Boston MicroSystemsは、数秒間で摂氏1100度にまで温度を変えられるMEMSホットプレートを開発した。

 

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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