大手映画会社で構成されるある業界団体が米国時間8日、デジタルシネマの実現に必要な標準規格の策定が完了したと発表した。これまで映画会社は、フィルムを映画館に配給するのに莫大なコストをかけてきたが、この規格のおかげでこうしたコストが大幅に削減されるものと期待される。
Disneyや20th Century Fox、Metro-Goldwyn-Mayer、Paramount Pictures、Sony Pictures Entertainment、Universal Studios、Warner Bros. Studiosが組織する業界団体Digital Cinema Initiatives(DCI)がDCI Technical Specificationバージョン5.0という規格の策定を完了した。この規格は、映画会社が高速ネットワークを使って作品を劇場に配給できるように設計されたもので、これを使うと各社は配給コストを何百万ドルも抑えられる。
「われわれは、デジタルシネマという未来への入り口に業界を導くことに貢献できた。このことを誇りに思っている。未来が現実のものになっていくところを見るのが楽しみだ」と、DCIの最高経営責任者(CEO)Chuck Goldwaterは声明のなかで述べた。また同氏は、プロジェクトがほぼ完成したことを受け、じきに役職を退く予定であることも発表した。
同規格の仕様書は9月30日までに完成する見込みだが、映画会社各社はDCIが当初定めたスケジュールを12カ月間延長して、技術仕様の改善やシステムの相互接続試験、仕様のセキュリティ強化に取り組むことに同意している。
DCIが今後力を入れていくのは、映写機やネットワーク機器のようなデジタルシネマシステムの生産を促進するために定められた技術仕様の改善だ。Texas Instrumentsやソニーは、DCIの初期段階の仕様に準拠した機器の製造を既に始めている。
現在、映画会社は作品を上映する映画館1軒1軒のために映画フィルムを作成している。業界アナリストによると、この費用はおよそ8億ドルもかかるという。
しかし、デジタルシネマフォーマットを利用すれば、映画会社は作品のマスターファイルを1つ作成して、高速ネットワークで映画館にそのファイルを送信するだけで配給作業が完了する。映画ファイルは劇場のサーバに格納され、LAN経由でデジタルプロジェクタから読み出される形で再生される。
しかし、映画会社は作品が安全に転送されるかどうかに大きな懸念を抱いている。映画会社各社は、映画館に保存された作品が不正コピーされないように、確実なセキュリティを確保したい考えだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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