調査会社のGartnerは、Microsoftがアジアなどの新興市場向けにリリースするWindowsの廉価バージョンについて、「意図はすばらしいが、実装はお粗末」とコメントしている。
GartnerアナリストのDion WigginsとMartin Gillilandは、先週発表したレポートのなかで、「Windows XP Starter Edition」がいくつかの機能を欠いていることに対してユーザーは不満を覚えるだろうと述べ、またソフトウェアアップグレードの選択肢が限られていることから「違法コピーの増加につながりそうだ」と主張している。
Microsoftは米国時間11日に、廉価で使いやすいWindows XPをインドネシア、マレーシア、タイを含む5カ国で提供すると発表した。
初心者向けの同OSからは、ファイル共有やプリンター共有、LANのサポートなど、いくつかの機能が削除されている。
Gartnerは、Microsoftが今回視野に入れているユーザーにとって、ホームネットワーキングのような機能は「ほとんど意味がない」という点には同意しているものの、同時に起動できるアプリケーションの数を3つに限定するなど、他の制限を課していることについては、これを非難している。
またGartnerは、セキュリティも問題の1つに挙げている。特に、速度が遅く高価なインターネット接続手段しか持たないユーザーに対して、パッチやアップデートをオンラインからダウンロードさせようとするのは無理が多いという。
「自分では所有していなくても、すでにサイバーカフェや学校でPCの基本的な使い方を知っている市民は多い。Windows XP Starter Editionは機能が限定されており、標準版と同様の質の高い経験が得られないことから、ユーザーは不満を抱くことになりそうだ」とGartnerのDion Wiggins。ちなみに同氏はGartnerのResearch and Advisory Services担当バイスプレジデント兼リサーチディレクターを務めている。
Wigginsはさらに、Starter Editionには標準版へのアップグレードパスが用意されておらず、そのため先進的な機能を使いこなすユーザーはXP Home Editionを購入する際に正規の小売価格を払わなければならないと指摘。同氏によれば、この点がユーザーを海賊版に向かわせる可能性があり、ソフトウェア違法コピーの増加につながるという。
2人はこのレポートを、企業は同製品を検討すべきではなく、消費者ですら、Microsoftが「ユーザーとともに成長するよう(OSを)再構成する」まで「避ける」べきだと結んでいる。
Microsoftの広報担当者によると、同社による調査では「初めてコンピュータに接するユーザーは同時に利用するプログラムとウィンドウの数は少ないという傾向が見られ、これがユーザーの混乱を減らすのに役立っていることが分かった」という。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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