消費者にはWindowsの自動更新機能を有効にして最新バージョンを入手するよう推奨しているMicrosoftだが、企業にはアップグレードを一時的に止める手段も提供している。
Microsoftのウェブサイトで公開されたこのツールを使うと、社内にあるマシンで自動更新機能を有効にしている企業が、Windows XP Service Pack 2(SP2)のインストールを一時的に止めるために、この機能を無効にしなくても済むようになる。
「一部の企業や団体が、Windows XP SP2のセキュリティ上のメリットを認めながらも、このアップデートの配付を一時的に無効にできる機能を要望してきた」と、Microsoftのウェブサイトには書かれている。このアップデート防止ツールを使うことで、企業は最長4カ月間アップグレードの実行を自社で止めておくことができるが、その後は自動的にSP2がインストールされることになると同社は説明している。
Microsoftは、この措置について、企業がカスタムアプリケーションなどの各種ソフトウェアで問題がないことを確認するため、ほかのOSのメジャーアップグレードと同じようにSP2をテストできるようにする目的があるとしている。
同社のWindowsクライアント部門グループマネジャーのBarry Goffeは、「われわれは、政府、教育機関、企業などの法人顧客に対し、テストの開始とサービスパックの導入をできるだけ早く行うよう奨めている」と語ったが、同時に「顧客には、環境によってはアプリケーションとの相性の問題があることをアップグレード前に確実に認識してもらいたい」と付け加えた。
これと呼応する動きが、各コンピュータメーカーなどですでに起こっており、IBMでは、潜在的な互換性の問題を懸念し、技術部門での確認が済むまではSP2をインストールしないよう社員に通達した。また各社のCIO(情報統括責任者)も、多くはSP2の適用を急がないことを明らかにしている。
Microsoftはセキュリティを重視した今回のアップグレードを先週完成させ、企業がマシンをアップグレードできるようにするツールを今週ネット上で公開した。同社はまた、Windowsの自動更新機能を有効にしているマシンへのSP2提供を間もなく開始する予定だ。
多くの企業では、PCの運用管理にWindowsの自動更新機能以外のツールを使っているが、中小企業などではWindows PCを最新の状態に維持するのにこの機能を利用しているところもある。さらに、多くの大企業ですら、たとえば外回りの営業部隊が使うノートPCなど、社内ネットワークに未接続のマシンでこの機能が使っている場合もある。
「(自動更新機能が)有効になったマシンでSP2を受け入れる準備が完全に整っていない、という意見が先週多数の顧客から寄せられた。こうした顧客は『これを止める方法はないだろうか』とわれわれに尋ねてきた」(Goffe)
Microsoftの用意したこのツールは、レジストリの設定を変更してSP2のインストールをブロックする仕組みになっており、同社が社内でSP2のさまざまなバージョンをテストする際に、その配布用につくったツールが元になっている。
Microsoftがこのような問題への対処を余儀なくされたのは、今回が初めてのことだが、これまでは自動更新機能がサービスパックのようなメジャーアップデートに対応していなかった。
なお、MicrosoftのGoffeは、同社が大企業には「Software Update Services」という無償プログラムを利用して欲しいと考えていると語った。同プログラムはWindowsに内蔵された自動更新機能を利用するが、企業のマシンの場合には、Microsoftのサーバでなく社内のサーバからファイルをダウンロードするため、どのソフトウェアをアップデートするかについて社内のIT部門で管理できるようになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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