「コードの借用」、つまり既存のソフトウェアのコードを自分の仕事で再利用する行為について、大半のソフトウェア開発者はこれを許される慣習だと見なしている。だが、今週発表される予定のある調査結果によれば、開発者を雇う側にとっては、こうした行為が法的な地雷原となる可能性があるという。
3000人以上の開発者を対象とする匿名のオンライン調査で、70%近い回答者がコードの個人的ライブラリを保存しており、それを会社から会社へと自由に持ち歩いていることが分かった。ITやEコマースに関する法的アドバイスを提供するサイト「Out-law.com」によると、これらのコードは一般的に、法律上の所有者の認知または許可無く使用されているという。
「コードの再利用やコピーは、いろいろな意味で違法だが、ソフトウェア開発においてはよくある行為だと思う」とこの調査に回答したあるフリーランス開発者は述べ、さらに「私自身も含め、知り合いの開発者の大半は、コードを再利用/コピーしたり、時にはリバースエンジニアリングしながら、そのコードを改良したり、あるいはその時開発しているアプリケーションに組み込んでいる」と付け加えている。
Susan McKiernanは、Out-law.comを運営する法律事務所Masonsで働くIT専門の弁護士だ。同氏によると、コードの再利用や「借用」という行為が広く容認されていることが、今回の調査で分かったという。
McKiernanによれば、こうした行為に関する根本的な争点は、コードの重要な部分がコピーされたかどうかだという。
「問題は、あるソフトウェアについて重要な部分はどれかを見極めるのが難しいことだ」(McKiernan)
いくつかの裁判では、借用されたコードの分量の多寡で、違法かどうかを決めることはできないとの判断が出されていると、McKiernanは語った。
「コピーされたとされる特定のコードに関して、それを設計/コーディングする上で使われたスキルや労力を考慮する必要がある」(McKiernan)
McKiernanは、ある当事者がコード全体の僅か2〜3%をコピーしただけなのに著作権侵害とみなされた例を挙げている。また、別の例では、ある開発者が(他者のつくった)オリジナルのソフトウェアに相当量の修正と追加を加え、見かけも大きく変えて、使いやすさも改良させたにもかかわらず、近道をするためにオリジナルのソフトウェアを使ったことで、著作権侵害にあたるとされたという。
この調査では、ソフトウェアが全く同一であることが著作権侵害発生の必要条件ではないことを開発者たちが認識していないことも明らかになった。
「オリジナルのコードやプログラムを参考にするだけでも、開発者が重要な部分をコピーしたとされる場合がある」とMcKiernanは言う。
ソフトウェア企業もまた、ある脅威に直面している。これは、開発に関わる人々が頻繁に職場を変える傾向があり、そのため社員や受託業者が、以前の雇用主やクライアントなどから得た素材を持ち込む機会が増えているためだ。
「インターネットの普及で、このリスクはさらに増えている。世界中のどこからでもソフトウェアを入手でき、またフォーラムや掲示板を通じてコードが共有される可能性があるからだ」とMcKiernanは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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