ウェブ検索最大手のGoogleはあるハード/ソフトウェアパッケージをアップデートすることにより、企業、政府機関、大学に対してより高速かつ包括的な検索結果を提供し、振るわない企業向け販売の促進を図りたい考えだ。
Googleの法人担当ゼネラルマネジャーDavid Girouardによると、同社は今回、2年前に発売した企業向け検索アプライアンス製品を初めてアップデートし、前バージョンから大幅に性能を向上させるという。
Girouardによると、新システムは処理能力やメモリが強化されており、1台で毎分最大150万の文書と300のクエリのインデックス化が可能という。これは前モデルの5倍の量に当たる。価格は構成によって異なり、1台当たり3万2000ドル〜17万5000ドルだという。
またGirouardは新システムで改善された点として、安全なサインオンを挙げる。これは、従業員が閲覧を許可された文書にだけクエリを投げられるようにするものだ。さらに、新システムは企業イントラネットを継続的に巡回し、新規文書や、既存文書で変更された部分だけを探し出し、インデックスを更新する機能を備える。Girouardによると、以前のシステムで採用されていたバッチ処理型の巡回手法では、2〜3日に1度の割合でインデックス全体を更新していたため、非効率だったという。
ウェブ検索市場を独占するGoogleは、同市場での成功を企業向け文書検索の分野でも達成しようと必死に取り組んできた。注目すべきは、同社が迅速かつ適切な検索結果を提供する検索エンジンとして名を高めることとなったウェブ検索技術の一部が、企業イントラネット内という異なる分野の検索には全く役立たなかった点だ。
例えば、スタンフォード大学から独占的に利用できるライセンスを取得しているPageRankシステムは、ウェブ上のページのリンク構造を手がかりに、ページの重要性を判断する。他のページに数多くのリンクが張られているページは、リンクがほとんど張られていないページよりも重要性が高いというわけだ。このシステムは、今でこそ検索結果の上位に表示されることを願うリンク「スパマー」が後を絶たないことから重要性が薄れつつあるが、Googleの初期の成功の鍵となったと広く認識されている。
しかし、一般に企業ネットワークには重厚なリンク構造が存在しないため、PageRankは文書の重要性を評価する上で効率的な手段とはいえない、とGirouardも認める。その代わりにGoogleが頼っているのが、100個程度の補完的アルゴリズムだ。その中には企業ネットワーク構造向けに同社が最適化したものもいくつか含まれている。
Googleが企業ネットワーク内検索の分野に進出してから2年がたつが、この分野では今だに特定の有力企業が現れておらず、VerityやFast Search & Transfer、Copernic、IBMなどのたくさんのライバルが競争を続けている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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