MySQLは、同社のMySQLデータベースと他のソフトウェアパッケージとの連携が損なわれるため論争の的となっていたライセンス規定をアップデートし、オープンソース陣営の亀裂の修復に向けて一歩前進した。
問題となっていたのは、MySQLとPHPとの連携を阻むライセンス規定だった。PHPは、コンピュータがカスタマイズされたウェブページをダイナミックに生成できるようにするソフトウェア。両パッケージは、Linuxオペレーティングシステム(OS)やApacheウェブサーバなどと同時に利用されることが非常に多く、これらのソフトウェアの組み合わせは、その頭文字からLAMPと呼ばれている。
MySQLは11日夜(米国時間)、PHPが従来行なっていた、ライブラリと呼ばれるMySQLコンポーネントのバンドル再開を認めるライセンス除外条項を発表した、とMySQLのマーケティング部門バイスプレジデント、Zack Urlockerは述べている。
MySQLの除外条項は「正しい方向に向けた1歩だ」と、PHPの作成者でZendの技術担当バイスプレジデント、Andi Gutmansはコメントしている。ZendはPHPプログラミングツールを販売している企業。またGutmansは、まだ残っている他の問題もこれから解決するだろうと自信を示した。
MySQLの動きは、オープンソースのソフトがコンピュータ業界の主流になるにつれて、ますます大きくなっている問題を示している。今回のMySQLの件では、オープンソース陣営の結束の固いソフトウェア同士でも、解決せねばならない問題があることが明らかになった。
そして、状況をさらに複雑にする要素はたくさんある。今週サンフランシスコで開かれる「Open Source Business Conference」では、こうした問題のいくつかが表面化するだろう。MySQLはこのカンファレンスで、PHP問題を根本から解決する同社のライセンス戦略の利点を売り込む見込みだ。
MySQLは、やはりオープンソースのデータベース会社SleepycatやプログラミングコンポーネントメーカーのTrolltechとともに、自社のソフトウェア提供に関して、オープンソースソフトウェアのなかで利用する場合のオープンソースライセンスと、プロプライエタリなソフトウェアに含む場合の商用ライセンスという、2つのソフトウェライセンス形式を用意している。
この2重ライセンス戦略は、ソフトウェアパッケージの全てのソースコードの著作権を、単一の個人または団体が保有している場合にのみ機能する。上記カンファレンスの参加者は、このライセンス戦略で収入を倍増させたという各社の自慢話を耳にすることになる。
MySQLの場合、同社製データベースソフトウェアと、他のプログラムがデータベースと通信するためのインターフェースとなるサポートライブラリとのライセンスに、GNU General Public License(一般公衆利用許諾契約書:GPL)を採用している。だが、これまでライブラリは、Lesser General Public License(LGPL)でカバーされていた。両ライセンスの重要な違いは、ソフトウェアがGPLで公開されている場合、そのソフトウェアにリンクできるのはGPLのソフトウェアだけだが、LGPLソフトウェアでは、プロプライエタリや非GPLのソフトウェアもリンクが可能になる点だ。
昨年6月まで、PHPのパッケージにはMySQLのライブラリが含まれ、PHPを利用するプログラマがウェブサイト構築の際にMySQLを簡単に利用できるようになっていた。しかしMySQLによるライセンス方式の変更で、PHP作成者はMySQLのコンポーネントを取り除くことになった。
ライブラリが変わってもPHPとMySQLが一緒に使えなくなるというわけではなかったが、ただしMySQLは、Oracle やPostgreSQLといった他のデータベースサーバが持つ「他のPHP用機能拡張に与えられた固有の地位」からは格下げされたと、Gutmanは述べている。
その後出されたPHPのベータ版では、同プログラミングチームはMySQLに変えて、SQLiteという別のデータベースソフトをバンドルしていた。
MySQLは、プロプライエタリなソフトの一部にMySQLを適切でない形で利用しているものが見られたことから、このライブラリ変更を行っていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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