SCO Groupは今週、DaimlerChryslerとAutoZoneを提訴したが、同Unixベンダーの弁護団がBank of Americaに対する訴訟準備も整えていたことが、ある文書から明らかになった。
CNET News.comは、SCOの手になるDaimlerChrysler訴訟に関するあるMicrosoft Word文書を入手したが、この文書では当初DaimlerChryslerではなくBank of Americaが被告人となっていた。同文書内にあるこの修正箇所や、他の修正部分は、強力だが忘れられがちなMicrosoft Wordの「invisible electronic ink(隠し文字)」を通すと見えるようになる。
MS Wordには、ある文書にだれがいつどのような変更を加えたのかを記録しておく機能がある。一般的に、これらの注釈はWord文書を読む側には分からない。しかし、Wordはまた、いわゆるメタデータを表示することもでき、これを見ればその文書のオリジナルの状態と後からどんな変更が加えられたかもすべてわかる。このことは、苦い経験から学んできた弁護士、ビジネスマン、政治家なら承知しているだろう。この変更を記録した情報は、「初版(変更箇所/コメントの表示)」もしくは「最終版(変更箇所/コメントの表示)」を選べば見ることができる。
SCO文書中の隠しテキストの存在は、この作業環境の問題に関する最新の一例に過ぎない。市場調査会社のVanson Bourneが実施した「The Cost of Sharing」(共有の代償)というタイトルの調査によると、流通する文書の90%は元のままでないのに、回答者の57%はメタデータが自分の文書中に残っていることを認識していないという。Microsoftはこの問題を自社ウェブサイトで取り上げているが、Office 2003にはユーザーがWordから隠しテキストを「完全に削除できる」機能があるとも付け加えている。
SCOによるDaimlerChrysler訴訟の場合、Word文書では2月18日、しかも正確を期すなら午前11時10分まで、被告の欄がBank of Americaとされていた。訴訟を提出する裁判所も、Bank of Americaの本拠地であるカリフォルニア州から、DaimlerChryslerの米国本社所在地であるミシガン州へと2月27日に変更されている。
この文書では、SCOが同銀行の提訴を真剣に検討していたかどうか、今後その意向があるかどうか、あるいはなぜ被告をDaimlerChryslerに切り替えたのかは定かでない。
しかしこの隠しテキストは、SCOが相当な時間を費やして同銀行への訴訟準備を進め、またIBMへの申し立てを拡大して、同社の顧客のなかで知名度の高い企業--この場合はBank of Americaの提訴まで検討したことを示唆している。
Bank of AmericaやSCOの関係者、そしてSCOの弁護団はこの文書に関するコメントを控えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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