Intelの新しいチップは、クロックスピード上昇への道を開いたが、現行バージョンは、前モデルや競合他社の製品と比べて、概ね処理速度が遅く、また発熱量も多くなっているという。
Prescottをベースにした新しいPentium 4がデビューしたが、2日(英国時間)に結果が公表されたZDNetのベンチマークテストでは、前モデルのNorthwoodや、ライバルであるAMDのAthlon64にやや劣るケースがほとんどだった(詳細については、英文レビュー記事を参照のこと)。
だが、この結果も特に驚くべきものではない。Intelの新しいチップは通常、登場時には同一クロックスピードの前モデルより処理性能が低いからだ。しかし、この結果は処理性能よりもクロックスピードを重視するIntelのマーケティング戦略に疑念を抱かせるもので、とりわけPrescottがNorthwoodやAthlon64より格段に多くの電力を消費する点には首を傾げざるを得ないと、このテストにあたった人間は述べている。
ZDNetのKai Schmererはレビューの中で、「Intelのマーケティング部門にとって関心があるのは、"クロックスピードが早ければ、それだけ売れる"ということだけだ。キャッシュ容量が倍増したとはいえ、パイプラインを31ステージに拡張したPrescott版Pentium 4は、前モデルよりも速度が多少落ちる。だが、パイプラインを拡張したことで、IntelではPrescottのクロックスピードを引き上げ続けることができるのだ」と書いている。
テストされたPrescottシステムは、最大の負荷をかけると、同等の他のチップよりも格段に多い、ほぼ250ワットもの電力を消費した。これに対し、Northwoodシステムは200ワット、同等のAthlon64システムは約168ワットとなっている。電力消費量はシステムの設計に影響を及ぼすが、これはチップの発熱量が多くなると、放熱ファンなどの冷却技術も強力なものにしなくてはならないためだ。
コンテンツを制作するタスクでは、AMDのチップがIntelを破った。また、パイプラインが長いにもかかわらず、Prescottの方がNorthwoodよりも高い成績を収めた。インターネットのパフォーマンスやゲームの読み込み時間といったほかのテストでは、AMDのチップの方が一般的にIntelの製品よりパフォーマンスが高く、NorthwoodがPrescottをわずかに上回った。
Schmererの話では、特にクロックスピードの高速化が予定されていることを考えると、Prescottの電力消費量が高い点は懸念材料になるという。Schmererは、「3.2GHzのスピードでPrescott Pentium 4ほど電力を要求するデスクトッププロセッサは見あたらない。2004年の末に4GHz版が登場したときにはいったいどうなるのだろう」と述べている。このような状況から、業界の一部の観測筋は、Intelが効率で大幅に勝るPentium Mモバイルチップをデスクトップで採用するのではとの可能性を示唆している(ZDNet UKのTech Guideにある「Inside Intel's Pentium M/Centrino」の記事を参照のこと)。。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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