経済産業省がIT技術者育成の基盤構築に向けて策定に取り組んでいる「ITスキル標準(ITSS)」。このITスキル標準の普及を推進すべく、NECソフト、コンピュータ・アソシエイツ、シーエーシー、シスコシステムズ、日本オラクル、日立システムアンドサービス、富士通、松下電器産業といった企業が中心となり、15日に「ITSSユーザー協会」が発足した。会長は東海大学教授の唐津一氏が務める。
ITSSは、IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確にし、体系化した指標で、産学におけるIT技術者の教育、訓練等に有効活用できる共通の枠組みを提供するというもの。ITSSユーザー協会はITSSの活用・普及にあたり、最新情報を提供する場や問題意識を共有する場を作るためのもの。同協会の会長となった唐津氏は、「IT業界のスキルの基準には決まったものがなく、ばらばらになっている。他業界には国の資格や制度が存在し、ある程度の基準をもって認定を行っているが、IT業界にはそのようなルールがないのが実情だ。日本は世界でも最高水準のスーパーコンピュータを開発するような国。そのような国で、専門家として技術者を評価する基準を設けることは自然なことだ」と語る。
ITSSユーザー協会の具体的な活動内容は主に5つ。それは、
――である。このような基準が普及すると、「大学での教育にも採用することができ、企業内での人材育成および評価システムにも利用できる。これは日本のIT技術者のあり方を変えるものだ」と、同協会専務理事に就任した日本オラクル バイスプレジデントの高橋秀典氏は述べている。
ITSSユーザー協会会長に就任した東海大学教授の唐津一氏 | |
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現在のITSSは、ITサービスをマーケティング、コンサルタント、ITアーキテクト、プロジェクトマネジメント、ソフトウェアデベロップメントなどの職種別に区分し、さらにその職種を専門分野別に分けたうえで、区分ごとのレベルを設けている。だがこのレベルはまだ抽象的な部分が多く、例えばプロジェクトマネジメントの項目では1万人月のプロジェクトを管理したことがあるかどうかといった基準が含まれているが、「1万人月のプロジェクト自体数が少ないため、あまり正確な判断基準とはいえない」と高橋氏は述べ、「実際にこのようなプロジェクトを手がける場合にどのようなスキルが必要か、といった詳しい技術を定める必要がある」という。そのため、今後は例えばオラクルマスターなどの各ベンダー資格がITSSにおけるどのレベルにあてはまるかなど、具体的な製品名も含めたうえで基準となるレベルの具体化を行うという。さらには、ITTVCといった情報化人材育成事業を行う機関とも連携した活動を行っていきたいとしている。
ITSSユーザー協会発足にあたっての記者会見では、発起人となった各社代表も出席し、多くの企業が社内の人事評価システムとして同基準を取り入れたい、あるいはすでに取り入れていると述べ、積極的な動きが進んでいることをアピールした。同協会では今後も参加企業を募り、2004年度中に100社・団体の加盟を目指して活動を行っていく。
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