米Intelの研究者らは、コンピュータも実習トレーニングで鍛えられると考えている。
Intelの研究部門は8日(米国時間)、「Open Source Machine Learning Library」を公開すると発表した。このライブラリは、コンピュータがさまざまな経験から学習できるようにするためのソフトウェアを集めたものだ。Intelは同ライブラリを、関心のある人々にウェブで無料公開する。
このライブラリは、Intelの研究者が確率論のベイズ理論を用いて構築したものだ。人の振る舞いや他の行為が過去に生じた頻度を計算することにより、コンピュータがその行為の起こりやすさを予測し学習することができるという。
このライブラリは、コンピュータやロボットを設計する人々向けのツールキットとして構築されたものだ。SF小説のイメージが思い浮かぶかもしれないが、このライブラリの目的は、Intel製プロセッサの新たな利用方法の開発と、そして究極的には、より強力なチップを大量に販売することだ。
Intelの話では、このマシンラーニングライブラリは、個人ユーザーや企業のパソコン、さらに産業用に使われるコンピュータなどに、それぞれのマシンがどういう環境で使われているかを学習させることで、それらのコンピュータの効率を向上させるのに利用できるという。
「Intelは、コンピュータをもっと積極的に反応するものにしたいと考えている」とIntelの研究ディレクター、David Tennenhouseは声明のなかで述べている。「これを実現するためには、ユーザーとの体験や周りの環境から学習できる必要がある。これらのシステムは、新たな主要パターンの認識に統計的手法を用いることにより、ユーザーのニーズを予測し、最も起こりやすい質問に対する答えをあらかじめ計算して、必要になったらすぐに答えを提供できるようになるだろう」(Tennenhouse)
たとえばこのライブラリは、よりインタラクティブな電子メールシステムの設計や、人間の行動モデルの構築、そしてそのモデルに基づいたメッセージ管理などに利用できるだろう。また、子供の行動に反応するおもちゃや、人間の健康を監視するコンピュータ、農家の作物の監視に役立つマシンなどにも、このライブラリが利用できるとIntel関係者は述べている。
Intelは、ベイズ理論を用いた複数の研究プロジェクトを実施しているが、このマシンラーニングライブラリもそのうちの1つだ。この他にも、より高度な産業用ロボットのための制御システム構築プロジェクトや、唇の動きを読み取って声のコマンドに対応するシステムの構築プロジェクトなどがある。
このマシンラーニングライブラリには、さまざまなマシンラーニング関数のソースコードとロイヤリティフリーの再配布ライセンスがついており、Intelの研究用ウェブサイトからダウンロードが可能だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」