日本IBMは11月4日、ネットワークやサーバなどコンピュータ資源の処理能力を自動調整するソフトウェア、IBM Tivoli Intelligent ThinkDynamic Orchestratorの販売を同日より始めると発表した。同社常務執行役員ソフトウェア事業担当の堀田一芙氏は、「オンデマンドビジネス実現のためには、自動化、統合化、仮想化が必要だ。今回発表する製品は自動化部分を担うもので、ITインフラ運用における自動化と最適化が実現できる」と語った。
現在の一般的なIT環境は、ピーク時の処理にも耐えられるキャパシティを備えた専用ITリソースを業務別に配備することが多い。だがこれでは全体的なITリソースの稼働率は低く、「世界中の約75%のCPUは使用されていない状況にあるというガートナーの調査結果もあるほどだ」と同社ソフトウェア事業Tivoli事業部長の石原明氏は指摘する。この稼働率の向上を実現させるのが今回発表されたTivoli Orchestratorだという。
Tivoli Orchestratorは、異機種が混在するシステム全体の稼働状態を監視し、必要に応じてネットワーク、サーバ、データなどのリソースの業務への割り当て(プロビジョニング)を自動的に調整・変更できる。例えば、ある業務のピーク時にはほかの業務から余っているサーバ資源などを融通できるので、常に十分なパフォーマンスを提供できるシステム環境を構築するとともに、運用コストの大幅削減が可能になるという。さらに、利用した分だけの代金を支払うユーティリティーコンピューティングも可能となり、オンデマンドビジネスを実現できる。
日本IBM 常務執行役員ソフトウェア事業担当、堀田一芙氏 | |
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同じような機能を持った自動化ソフトウェアは、Hewlett-PackardからUDC(Utility Data Center)といった製品が出ているが、これは文字通りデータセンターに向けた大規模システムをターゲットとしたもの。同社ソフトウェア事業Tivoli事業部営業推進部長の馬場信行氏は「小規模なところからスタートできるのがわれわれの製品の強み。ポリシー設定やワークフロー定義のきめ細やかさでも優位性がある」としている。また、「IBM製品以外のミドルウェアなどもサポートしているため、例えばIBM製品を全く利用していない新規顧客でもTivoli Orchestratorを利用することが可能だ」と馬場氏。同社のアウトソーシングサービスであるIBM Global ServicesでもTivoli Orchestratorを採用するという。
同製品の対応環境は、Windows 2000 Server、AIX 5.2(64-bit)、Linux Red Hat Linux Advanced Server2.1(IBM互換パソコン)。1CPU単位のライセンス料金は50万5600円から。またTivoli Orchestratorのプロビジョニング機能は、単体製品IBM Tivoli Provisioning Managerとしても提供する。
なお、Tivoli Orchestratorは同日より販売を開始するが、出力メッセージやマニュアルなどを日本語に対応させたバージョンは、2004年上半期に利用可能とする予定。
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