コンピュータ業界の大手各社でつくる団体は米国時間10月31日、異なるコンピュータとストレージシステム間の接続速度を高める技術仕様を完成させた。
Remote Direct Memory Access(RDMA) over Ethernetと呼ばれる同仕様は、InfiniBandと呼ばれる同様の標準から多くの点を取り入れているが、広く使われているイーサネットなど、広範に普及したInternet Protocol(IP)ネットワーク上で動作する利点がある。
コンピュータによる処理をほとんど必要とすることなく、ネットワーク経由でデータをコンピュータのメモリにダイレクトに送信することがRDMAの目的だ。現在の接続方法では、こうしたデータを複数の段階に分けて分析する必要があるため、適切な場所に保存するまでの処理が比較的遅くなってしまうが、RDMAではこの方法よりも高速になる。
この技術で期待されることの1つに、高価なマシンを1台購入する代わりに、複数の低価格サーバを接続して高性能データベースを構築できるというものがある。またRDMAなら、コンピュータとストレージシステムの接続に、比較的珍しく高価なFibre Channelネットワークではなく、ふつうのネットワークを使うことも可能となる。
同技術はRDMA Consortiumで開発が進められてきた。同団体の設立メンバーには、Adaptec、Broadcom、Cisco Systems、Dell、EMC、Hewlett-Packard(HP)、IBM、Intel、Microsoft、そしてNetwork Applianceなど、コンピュータ業界の大手各社が名を連ねている。
同コンソーシアムでの仕様策定を終了したこの技術は、すでに標準化団体IETF(Internet Engineering Task Force)の手に委ねられており、今後の開発も同団体の管理の下で行われると、同コンソーシアムは述べている。
仕様の策定が終えたいま、各社は製品の開発に取りかかっている。HPの業界標準サーバグループでストレージ、ネットワーク、およびインフラを担当するバイスプレジデントのPaul Perezによると、RDMAを大々的に支持するHPは、RDMA対応ネットワークアダプタのテストを、来年1月または2月に開始する予定だという。
しかし、IBMなどの他社の予想では、RDMAが主流の技術として利用されるようになるのは、今日の1ギガビット/秒ネットワークが、10ギガビット/秒のスピードまでアップグレードされた後のことだという。
同コンソーシアムでは、RDMA仕様の核となる部分について、4月に作業を完了しており、それ以降重要な追加コンポーネントをいくつか完成させている。その1つに「iSER」と呼ばれるものがあるが、これはIPネットワーク上でのストレージネットワーク構築に利用されるiSCSI標準を拡張し、iSCSIネットワークがRDMAのパフォーマンスメリットを享受できるようにするものだ。また、Perezのグループでマーケティングマネジャーを務めるJohn Gromalaによると、Sockets Direct Protocolと呼ばれる別のものは、ソフトウェアを書き直さなくてもRDMAを容易に利用できるようにするという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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