米IntelのItaniumプロセッサ上で、より一般的なPentiumやXeonチップ用に書かれたプログラムを稼動させるためのソフトウェアのリリースが、予定されていた年内より遅れることになった。
このソフトウェアは「IA32 Execution Layer」(IA32-EL)と呼ばれるパッケージ。IA32-ELは、年内に米MicrosoftのWindows Server 2003オペレーティングシステム(OS)のService Pack 1に盛り込まれる予定だった。だが、Service Pack 1のリリースが、当初予定の年内から2004年後半にずれ込んだ、とMicrosoftの関係者が10月31日(米国時間)明らかにした。
Microsoftは、Service Pack 1でIA32-ELをサポートする点については変更なく、Itaniumに対応しているWindows全バージョンでIA32-ELをサポートしていく計画だと述べている。
Microsoftのスケジュール変更によって、IA32-ELはLinuxでいち早く登場することになりそうだ。独SuSE Linuxでは、2004年第2四半期に出荷予定のSuSE Linux Enterprise Server(SLES)9.0にIA32-ELを含める予定だと、同社の最高技術責任者(CTO)Juergen Geckは述べている。
しかし、IA32-ELがSLESに含められるか否かは、Intelがそれを次の2.6Linuxカーネル上で動くよう改訂するかどうかにかかっているとGeckは言う。2.6カーネルでは、たとえばスレッドと呼ばれる同時タスクをOSが処理する方法が大幅に変更されている。
「Intelが提供するアブストラクション・レイヤ(IA32-EL)は、カーネルやGlibc(Linuxプログラムが使用するソフトウェアルーチンのライブラリ)の内部に深く関わっている。Intelは新アーキテクチャにレイヤを移植する必要がある。Intelがスムースに移植を進められれば、IA32-ELがSLES 9.0に盛り込まれるだろう」(Geck)
Itaniumは64ビットプロセッサで、XeonやPentiumなどの32ビットIntelプロセッサよりもはるかに大量のデータを処理できる。しかし命令に使われる言語がXeonやPentiumとは大きく異なっているため、XeonやPentium用のソフトウェアは非常に低速でしか稼動できない。
IA32-ELは、Xeonの命令を、Itaniumが理解できる命令に翻訳するソフトウェアだ。これを使うとXeonの命令は、1.5GHzのItanium 2上で1.4GHz Xeon相当の速さで実行できるとIntelは話している。実際の現行Xeonは最高3.2GHzで、IA32-ELがリリースされるまでにさらに高速化する見込みだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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