米Intelは今週、機密性の高いドキュメントや個人情報を、暗号化して保管できる電子金庫「Trusted Platform Module(TPM)」を搭載した、新しいマザーボードを発売する。
TPMは標準マザーボードに追加する部品で、ファイルの暗号化と解読を瞬時に行うチップとキーが含まれる。このモジュールを搭載したコンピュータでは、ファイルにアクセスするために、ユーザーはパスワードを入力することになる。また、認証を受けたユーザーは、TPMにファイルを送信したり、TPMのなかにあるファイルをコンピュータのハードディスクにコピーすることができる。暗号化された状態のファイルには、アクセスできない。
TPMへ保存された機密性の高いデータについては、後でアクセスされないように、ソフトウェアが消去ツールを使ってファイルの痕跡をハードドライブから確実に削除し、またデータはごみ箱に移動しない。
Intelの技術マーケティングマネジャー、Mark AtkinsonがZDNet UKに語ったところでは、TPMの追加で1マザーボードにつき5ドル程度のコスト増となるという。
TPMには、パスワードなどの各種個人情報を、Windows XPよりもはるかに安全な方法で保管できる機能があると、Intelは主張している。「これらの情報は、すべてTPMの中に保管されるため、解読は不可能だ。Windows XPでは、パスワードがレジストリに保存されているので、簡単にファイルにアクセスして中身を読めてしまう」(Atkinson)
Atkinsonは、TPMがセキュリティの至高の形ではないことを認めつつも、これが正しい方向へと向かう1つのステップであり、コストもさほどかからないという利点もある、と語っている。
ただし、マザーボードが障害を起こした場合は、そのTPMモジュールのチップを別のTPMマザーボードに乗せ換えないと、そのなかに保存された情報にアクセスできないという不利な点がある。TPMの内容をバックアップするオプションもあるが、これでバックアップされたファイルは暗号化されない。
Atkinsonは、この技術が、大きな論争を巻き起こしているデジタル著作権管理(DRM)技術とは全くの無関係であり、電子金庫としてだけ採用されるものであることを強く指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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