富士通は10月9日、同社の特許業務支援システムパッケージである「ATMS(アトムス:Advanced Technical Management System)シリーズ」の機能強化を発表した。特許に関する調査と管理をシステム化することで、「自社を“守る”ためではなく、特許を事業戦略の決定に活用するなど、“攻め”の道具として使えるようになる」(富士通GLOVIA事業本部本部長、林暁氏)という。
ATMSシリーズは、富士通が社内で利用していた特許業務のノウハウを活かし、15年前にパッケージ化したもの。特許庁が1990年に世界で初めて特許のオンライン出願の受付を開始するなど、ペーパーレス化が進む中、同社のシステムは調査、発明提案から特許の出願、成立、維持、評価に至るまですべてをペーパーレス化、現在ATMSシリーズ全体で1000社の企業が利用しているのだという。
今回機能が強化されたのは、特許調査アウトソーシングサービスの「ATMS/IR.net」と、特許管理システム「ATMS/PM2000」。ATMS/IR.netは、特許の検索や、自社および他社特許の分布状況のマッピング、技術動向の分析などを行うもの。いっぽうのATMS/PM2000は、出願時・審査請求時など段階ごとに特許を評価、自社の特許の強みを判断できるほか、実際には利用されていない特許を把握するのにも役立つ。これにより、特許の維持費用の削減や、ライセンス交渉の際の特許価値判断にも活用できるという。このほかにも同社では、PCでの特許出願支援ソフトであるATMS/PPWを用意している。
富士通GLOVIA事業本部本部長、林暁氏 | |
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ATMS/IR.netで強化された機能は、キーワードで取得特許の分布をビジュアル化できる特許分析機能、米国特許の情報提供、国内特許の過去データ検索サービスなど。米国特許の情報提供は、米国と日本の両国において特許を申請するケースが増えている背景を元に新しく提供するもので、1979年以降の米国特許の情報をASPサービスとして利用できる。国内の過去データ検索は、1994年以降のCD-ROM公報データ検索サービスに加え、特許庁登録データが電子化される以前の1986年まで遡ることが可能な過去データの検索サービスを提供する。
いっぽうのATMS/PM2000では、特許評価機能の強化と、他社の特許を管理する機能が新たに提供される。この機能強化で、出願時・審査請求時など各段階における特許評価の処理や、自社特許管理データベースへの記録がワークフローとしてシステム化される。他社特許管理機能と組み合わせることで、自社・他社特許の強さの分析や、他社に対する権利行使の際に評価データを判断材料として活用することもできるという。
それぞれの追加オプションおよびサービスは、今年11月4日(ATMS/PM2000ワークフローオプション)または来年1月5日(その他オプションとサービス)より提供開始される。販売価格はサービスによって異なるが、初期費用が200万円(ATMS/IR.netの特許分析サービスおよび国内公報検索サービスなど)からなどとなっている。富士通では、今後3年間に500社に向けてこれらサービスを提供したい考えだ。
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