米Microsoftに対して非常に批判的な報告書を作成した、あるコンピュータセキュリティ専門家が解雇されていた。この人物の勤め先は、Microsoftとの取引が多いコンサルティング会社だった。
Dan Deerは、長いキャリアを持つコンピュータセキュリティの研究家だが、同氏は24日(米国時間)、複数の同僚との連名で、ある研究結果を発表した。この報告書では、Microsoftのソフトウェアが至るところに存在する状態を、米国の経済ならびに国家の安全保障を脅かすものと呼んでいるが、そのことが大きな論争を巻き起こしていた。この研究は独自の資金で賄われ、調査が進められたものだったが、その結果をまとめた報告書を配布したのは、Computer and Communications Industry Association ( CCIA )という、主にMicrosoftの競合企業が参加する業界団体だった。
Geerが最高技術責任者(CTO)を務めていたセキュリティコンサルティング企業の@Stake(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は25日、Geerが会社側の承認を得ずにこの報告書を発表したこと、ならびに同氏がすでに同社を離れたことを伝える声明を発表した。
「この報告書の共同執筆及び発表は、@Stakeが認めたものではなかった。また、報告書に書かれた評価や意見は、@Stakeの見方とは一致しない」(同社声明)
Microsoftの広報担当者は、@StakeにGeerの処分を迫るような圧力をかけてはいないと語った。ただし、(報告書の内容が初めて報道された後の)23日遅くに、@Stakeから同社に電話があり、Geerの研究結果は@Stakeの意見を反映するものではないと言われたという。
「@Stake社内の人事に関する決定には、全く関与していない」(Microsoft広報担当、Sean Sundwell)
Sundwellによると、Microsoftは顧客向けのセキュリティソフトを開発する際に、@Stakeのサービスを利用しており、同社との関係は数年前から続いているという。この点に関して、@Stakeの担当者のほうは、社の声明にある以上のことはいえないとコメントを避けた。
@Stakeは、声明のなかで、Geerが執筆に加わった報告書の発表前日にあたる9月23日付けで、Geerとの雇用関係を解消したと述べている。
しかし、報告書の共著者のひとりであるセキュリティ専門家のBruce Schneierは、二人が電話会議を開き、記者たちにこの報告書に関する説明を行った24日の時点では、Geerはまだ@Stakeに在籍しているものと思ったと語っている。
「Danが電話会議に参加していた時には、彼はまだ@Stakeの社員だった」と Schneier。「@Stakeは10分前に彼を解雇したのかもしれないが、それを本人には伝えていなかった」。なお、Schneierは、Counterpane Internet Securityという会社で最高技術責任者(CTO)を務めている。
Geerにはまだ連絡が取れていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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