米MicrosoftのInternet Explorerブラウザを脅かしている特許問題をめぐって、ウェブ業界全体で不安が渦巻くなか、標準団体World Wide Web Consortium(W3C)はこの脅威に対処するため、Webの共通言語であるハイパーテキストマークアップ言語(HTML)自体の変更を検討している。
W3Cに近い筋によると、W3Cは米Eolasの特許訴訟を受け、特許諮問団(Patent Advisory Group:PAG)を間もなく結成するという。この諮問団は、Eolasの特許がHTMLや、HTMLに関連するほかの標準にどのような法的影響を与えるかについて、公に調査を行なうという。HTMLは、ウェブの記述方法を定めたW3Cの代表的な規格で、大多数のウェブページが採用している。
W3CはPAGについてのコメントを控えている。しかしW3C代表者は、特許とHTMLに関する法的問題について、W3Cはまだ正式な調査を行なっていないと認めた。
Eolasが、MicrosoftとInternet Explorerブラウザを訴えた特許訴訟で5億2100万ドルの損害賠償を勝ち取ったニュースは、ウェブ業界やソフトウェア業界全体を震撼させた。Microsoftは上訴を表明しているが、同社や、米Macromediaや米Sun MicrosystemsなどIEのプラグイン技術--Eolasの特許を侵害しているとされた機能--に強く依存している企業はすでに、最悪のシナリオに向けた準備も開始している。
そして今度はW3Cが、成熟して安定した仕様とされるHTMLに、変更を検討しているということになった。
HTMLの中で問題となる可能性があるのは、ページを提供しているサーバとは別のサーバにあるコンテンツを呼び出す方法を記述している部分だという。W3Cメンバーらは、HTMLの「object」タグと「embed」タグが、Eolasの特許の表現に引っかかるかもしれないと気を揉んでいる。
PAGで推奨する可能性がある選択肢としては、技術的な迂回措置のほか、HTMLやそれに関連する仕様に新たな表現を加え、ウェブページ作者が問題のタグを実装する際には特許権保有者に連絡し、必要な場合はライセンスを得るよう注意することなどが考えられる。
またHTMLのPAGは、「先行技術」を見つける活動を開始する可能性もある。先行技術とは、Eolasの特許取得以前からあり、法廷で特許侵害の対象外と認められる技術のこと。
W3Cは、もともと同コンソーシアムのP3Pプライバシー方針勧告に特許侵害の恐れがあるとされた際、PAGシステムを設立した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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