米IBMは、ハリウッドからウォールストリートまで、さまざまなコンテンツのセキュリティ確保に向けたデジタル権利管理(DRM)戦略の準備を進めている。
extensible Content Protection(xCP)というこの構想では、コンシューマーの家庭内ネットワークに配信されたコンテンツを、メディア企業がコントロールできるようにするソフトウェアが含まれている。この構想は、市販メディアの不正使用防止を狙いとしている。IBMのメディア/エンターテイメントグループ担当ゼネラルマネジャー、Dick Andersonは米国時間18日、マサチューセッツ州ケンブリッジにあるハーバード大学Berkman Center for Internet and Societyで開かれるカンファレンスで、このプロジェクトに関する説明を行う。IBMでは、xCPを採用するエンターテイメント業界の顧客企業を、約1カ月以内に発表するとみられている。
xCPには、たとえば利用者がDVDプレーヤーや、家庭内ネットワーク上にあるxCP準拠の各種デバイスで映画を再生するといった権利を、メディアプロバイダーが提供できるようにする暗号化ソフトが含まれている。IBMによると、このソフトウェアはメディア企業が自社の知的財産を保護できるようにし、またコンシューマーにも充分使いやすいようになっているという。
コンテンツ配信のための持続可能なビジネスモデルは現時点ではあまり見あたらないが、このような保護機能によって、メディアやエンターテイメント業界ではそうしたビジネスモデルの開発が可能になると、IBMのメディア/エンターテイメント業界戦略担当バイスプレジデント、Steve Canepaは述べている。
メディアでは、音楽・映画業界と違法なファイル交換ネットワーク利用者との戦いが大きく取り上げられているが、IBMでは他の業界でのコンテンツ保護にも、同様のニーズがあると見ている。
たとえば、航空機メーカーは、アクセス権を厳しく管理しながら、パートナー各社に対して、エンジニアリングプランを電子的に配付することなどを考えるだろう。
しかしIBMによると、DRMソフトウェアの機能が不十分であるため、企業は研究内容や顧客リストの盗難などで、年間数十億ドル相当の知的財産に関する損失を被っているという。
IBMは、DRM機能を自社ソフトウェアの全製品に組み込んでいく。同社では現在、DRMコントロール機能を自社のDB2 Content Manager製品に追加するためのシステムをテストしているところで、このアドオン製品の最終リリースを2004年中に予定している。
このDRM機能によって、企業はコンテンツにアクセス権を割り当て、その使用状況をトラッキングできるようになる。顧客はJavaで書かれたこのDRM機能を、各種Webサービスプログラミングプロトコルを介して利用することができるが、しかし既存アプリケーションのコードを変更する必要はない。
IBMは将来的に、Copy Protection and EnablingというこのDRMソフトをWebSphereやTivoli製品を含むミドルウェアの全製品に組み込んでいく。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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