日立製作所基礎研究所と日立メディコ、およびイタリア国際先端研究所のJacques Mehler教授は9月9日、生まれて間もない新生児が言語の音とその他の音を区別して認識している様子を、光トポグラフィ装置を用いた脳機能の画像計測により、世界で初めて測定することに成功したと発表した。これは、ブルーロ・ガルファーロ病院とフランス国立認知科学研究所の研究グループと共同で行ったもの。
最先端の脳科学研究では、人の成長に伴う脳の発達過程に及ぼす教育や環境の影響を解明する取り組みが進められている。従来、乳児に映像や音などを視聴させ、それに対する反応行動(視線・頭の向き・吸啜回数など)を計測する方法が用いられてきたが、反応行動はさまざまな要因の積み重ねの結果であり、個々の刺激と脳活動の関連を明確にするのは困難とされていた。
今回利用されたのは、日立グループが開発した光トポグラフィ装置で、これは近赤外光を頭皮上から照射して脳活動に伴う局所的な脳血流変化を画像化できる装置。新生児向けに軽くて快適な小型計測用キャップを開発し、自然な状態で新生児の脳機能計測を可能にした。
実験では、イタリア語の話を聞かせた時に、顕著な反応が左側頭葉(特に左耳の上)で観察されたという。このため、新生児が成人と同じように左側頭葉で言語音を処理していることが、世界で初めて明らかになった。
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