米連邦捜査局の関係者は米国時間8月29日、今年初めにMSBlastワームを使って数十万台のコンピュータに被害を与えた容疑者を逮捕したと正式に認めた。
ワシントン州シアトルの米連邦検事、John McKayによると、ミネソタ州ミネアポリス在住の18才、Jeffrey Lee Parsonが、保護されたコンピュータに対して意図的に危害を加えた罪で逮捕された。
Parsonには、2つのファイルの名前を自身のスクリーン名である「teekid」などへ変更したり、米MicrosoftおよびBill Gatesをののしるメッセージを追加するなどの小さな変更をオリジナルのワームに対して加えた亜種の1つ、MSBlast.Bを作成した容疑がかけられている。B亜種はオリジナルのワームや最近登場したD亜種よりは感染の規模が拡がらなかった。
McKayによると、B亜種は継続的に感染を拡大しているいわゆるBlasterワーム類のなかでも、重要な役割を担っていたという。「この容疑者はBlasterワーム問題のカギを握る重要な人物であり、逮捕は大きな前進だと考えている」と同氏は記者会見で語った。
FBI捜査官は米国時間29日の朝にParsonを自宅で逮捕し、同容疑者は数時間後にミネソタ州連邦地方裁判所に出廷した。McKayの話では、Parsonはインターネットにアクセスしないことを条件に自宅軟禁の判決を受けて保釈されたという。有罪判決を受けた場合、Parsonには最高で10年の懲役と25万ドルの罰金が科せられる。
McKayはまた、連邦捜査当局がBlasterアタックに関連し、オリジナルのワームの作者を含むほかの犯人を特定すべく捜査を継続中だと語った。
B亜種は少なくとも7000台のコンピュータに感染し、Microsoftのコンピュータにも「5000ドルを優に越える」被害を与えたという。McKayは、この数字はBlaster問題全体の中ではParsonの占める比重が低いことを示しているのではとの意見に対し、訴状には意図的に低い数字が書かれているとし、異論を唱えている。「今ここで具体的な数字を示す用意はないが、被害額はかなりの数字になる」(McKay)
訴状によると、FBI捜査官がBlasterワームの発生させたトラフィックを逆にトラッキングしたところ、Parsonのオンライン名と同じ名前のWebサイトにたどり着いたという。このサイトには、ファイル共有ネットワーク経由で感染するようデザインされたものなど、ほかのワームのソースコードが存在していた容疑がかけられている。
なお、捜査官は公開データベースを利用することで、このサイトからParsonにたどり着くことができたという。
「決して容易な捜査ではなかったが、容疑者がはっきりとした手がかりを残していた」(McKay)
訴状によると、捜査官は2週間前にParsonの自宅を家宅捜査して7台のコンピュータを押収し、Parsonの自白もとったという。
「ParsonはBlasterワームに修正を加え、これの亜種を作成したことを認めた。Parsonはまた、オリジナルの“MSBlast.exe”の実行イメージを自らのオンライン名である“teekid”にちなんで“teekids.exe”へと変えたことも認めた」(訴状)
AP通信がインタビューした隣人によると、Parsonは大柄で、危険な運転が目立ち、髪を何度も染め直し、いつも自分のコンピュータに向かっていたという。隣人のCurtis Mackeyは今回の容疑に驚き、「自分には容疑者がそれほど頭が良いようには思えなかった。ただ、いつも孤独を好むという特徴には当てはまると思う」と同通信社に語っている。
FBI長官のRobert Muellerが先週初めに明らかにしたところでは、捜査官は国土安全保障省のほか、州および市の捜査当局とも連携して容疑者を追跡してきたという。
セキュリティソフトウェア企業各社は 政府がウイルス作者の処罰に力を入れ始めていることを賞賛した。Network Associatesのリサーチエンジニア、Craig Schmugarによると、FBIなどの捜査グループはハッカーなどのインターネット犯罪者の追跡に明確に力を入れ始めているという。
「今回の逮捕は、既存ウイルスの新しい亜種を作ろうとする人間に対する警告になる。今後このようなことは必ず罰せられる」(Schmugar)
容疑者は、平均的なウイルス作者に対する業界のプロファイルに合致するので、Schmugarは容疑者が10代だったことには驚かなかったという。Network Associatesが実施した統計調査によると、ウイルスの活動は学校のある時期に増加し、夏休み期間中などには衰える傾向がある。
「だが、今年は最悪の夏休みだった」(Schmugar)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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