メインストリームの信頼をようやく勝ち取ったばかりのLinuxはいま、それほど魅力的ではないものの、同様に重要な別の課題に立ち向かっている。その課題とは、IT業界にとって魅力のある存在となることだ。
これまで、大手サーバメーカー全てが製品にLinuxを採用したほか、米Oracleや独SAPなどビジネスソフトウェアメーカーが自社製品のLinuxバージョンを発売するなどしており、Linuxは大手企業顧客の信頼を勝ち取り、Microsoftの最大の脅威の1つとなるという成功を収めてきている。
このような成功を収めた現在、コンピューター関連各社は、Linuxを顧客により自然に適応させるため、その管理や稼動を容易にするソフトウェアを充実させているところだ。
今週サンフランシスコで開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」で、いくつかの企業がこうしたソフトを展示する。米Veritas Softwareや米BMC Software、米Computer Associates Internationalなどの大手マネジメントソフトウェアメーカーは、会場で幅広いLinux製品を披露する予定だ。さらに米Altirisや米Linuxcare、米Aduvaなど、より小規模な企業も各々のアイディアを発表する。また、米IBMやHewlett-Packard(HP)などのサーバメーカーは、会場で独自の管理ツールを売り込んでいく予定である。
システム管理ソフトウェアは、Linuxが広く採用されるのを阻んでいる主な問題の1つとされている。2002年に販売されたサーバ用オペレーティングシステム(OS)のうち、Linux製品は26%を占めるまでに成長した。しかしLinuxは依然として、競合ソフトウェアよりも稼動にコストがかかるケースが多い、と米IDCのアナリストDan Kusnetzkyは述べている。
「より良い管理ツール、より豊富なアプリケーションソフトウェア、システムの信頼性を高めるツールといった、従来のLinuxの弱点だった部分を補う製品が急速に出揃ってきている」(Kusnetzky)
IDCは1997年に、Linuxは製造業から金融、ヘルスケア、保険までほぼあらゆる市場で人気を博する、という予想を出し、一時はそれであざ笑われた。しかしLinuxは徐々に成長を遂げ、IDCの予想に合致しつつある。IDCでは、Linuxが学術の世界から出て、もっと幅広い分野で使われるようになった、他のOSと同じ軌跡をたどっていると信じている。
「UNIXも、VMSも、またある程度まではWindowsも、同じようにこの成長の軌跡をたどった。いまLinuxとその従兄弟ともいえる存在のBSD(UNIX)が、この軌跡の上を進んでいるところだ」(Kusnetzky)
今週サンフランシスコで開催中のLinuxWorldでは、HPのPeter Blackmore、米Sun MicrosystemsのJonathan Schwartz、IBMのIrving Wladawsky-Bergerという、3大サーバメーカーの幹部による基調講演が予定されている。またこの他にも、Linuxディストリビュータ首位の米Red Hat最高経営責任者(CEO)Matthew Szulikや、データベースソフトウェアメーカー首位の米Oracleのサーバ技術部門責任者、Charles Rozwatらによる講演がある。
さらに、Linuxのライバルである米Microsoftも、今回で三回めとなる参加を予定している。同社では、Windows上でUNIXのプログラムを動かすための自社ソフトなどのテーマについて「思慮深く、生産的な議論を展開する」と約束している。また、同社のShared-Source プログラムについても語る予定だが、このプログラムは外部者に同社ソフトウェアの改変などを認めるもので、程度の差はあれ、オープンソースを意識したものといえる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」