一般的なビジネス用プリンタでホログラム印刷ができると期待するのはちょっと無理がある。だが米Xeroxの研究者は、ほぼそれに近いことを発見したという。
Xeroxは、同社が「Glossmark」と呼ぶ新技術を31日(米国時間)に発表する予定だ。これは、普通のオフィスプリンタを使い、コピーやその他の簡単には複製できない方法で、普通の印刷された書類の上に、光沢のある画像をスーパーインポーズするというものだ。
これまで欠陥とみなされていたレーザー印刷過程の一風変わった癖を利用したXeroxの科学者は、紙に印刷された書類がはたして本物かどうかを証明できる方法を発見したと考えている。これは、ホログラムを使ったステッカーがクレジットカードや免許証の正当性を証明するのと、同じ原理に基づいている。
Xeroxによるこの新しいプロセスは、商品化までにはまだ長い時間がかかるものの、企業文書であれ、著作権が保護された映画や音楽であれ、デジタルコンテンツの保護に向けたテクノロジー業界による長年の取り組みをすり抜けてきた、ある盲点をあぶり出すものだ。
コンピュータやその他のデバイスを使い、完全なデジタルコピーを作ってしまう人々からコンテンツを保護するために、これを暗号化するなど、さまざまな手段が講じられてきたが、そのためにこれまで数億ドルもの金額が費やされている。しかし、これらのテクノロジーは、紙の書類のハードコピーをとったり、ステレオのスピーカーから流れてくる歌をテープに録音するというような、あまりにも簡単な複製手法に対しては、ほとんどなす術がなかったのだ。
XeroxのGlossmarkプロセスの発見は、ほとんど偶然の産物といえる。
研究者たちは、プリンタによっては、印刷物のなかに周辺部分に比べて光をより強く反射する光沢部分が生じてしまうという問題に、以前から気がついていた。この現象は、プラスチックに似た性質を持つトナーが紙の上に溶けてしまう印刷プロセスの産物である。
「ディファレンシャルグロス」と呼ばれるこの現象を解決しようと研究を続けていた研究者たちは、これをうまく操作することで、印刷物に現れる光沢部分の位置を制御できることに気づいた。
オフィスで使われるような普通のカラープリンタに、光沢のあるイメージを送る方法を探っていた研究チームは、やがてこの光沢部分を使って一貫したパターンを作り出すことに成功した。その結果、書類に埋め込まれた光沢イメージは、正面からは見えないが、光に対して直角にすると、ホログラムのように文字や絵が浮かんでくるという印刷技術ができあがった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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