米IBMのAlmaden Research Centerで今週、「New Paradigms for Using Computers」会議が開催され、コンピュータ科学者らが人間とテクノロジーの関わりについて意見交換を行なった。
米Intelでは人類学者を雇い、異文化におけるテクノロジー利用の相違について調査している。また、マウスのクリックを記録するソフトウェアや視線追跡カメラなどの新技術を利用して、ユーザーの行動を研究する企業もある。一方、米Googleでは、まず社員に新しい検索技術の使い勝手を試させる。その後顧客に試用提供するか、あるいは実際の検索サイトにいきなり新技術を放り込む場合もあるという。
今年の会合では、これまで登場したテクノロジーを人々がどのように活用しているかを把握することに重点が置かれた。ディスカッションでは、テクノロジーと人間の相互作用を追跡するツールの改良を讃える声も挙がった。たとえば、視線追跡技術はここ数十年間注目を集めている研究技術だが、当初、被験者はかさばる装置を頭に装着し、実験中であることを常に意識せざるを得なかった。しかし今では、隠しカメラが被験者の視線の動きを追跡する方法をとっている。また、このような追跡技術をマウスのクリック追跡ソフトウェアと組み合わせることにより、インターネットユーザーが実際に見ているものと起こす行動について、詳細が明らかになっている。
しかし、Intelの人類学者のGenevieve Bellは、テクノロジーがいくら進歩しても、研究所ではなく自分の足で現地調査を進めるのが良いと主張した。Bellはアジア諸国を回り、テクノロジーの利用状況や家庭のテクノロジー導入について調べた。たとえば、中国ではテレビは客の集う居間に置くが、コンピュータは人目につかぬよう家の奥に設置する。このことから、中国は双方向テレビとコンピュータを組み合わせたMedia Center PCの初期市場にはなりえないなど、貴重な情報が収集できるという。一方、研究方法について異なる意見も挙がった。米Hewlett-Packard(HP)の研究員のJoshua Tylerは、「ユーザーの電子メールの内容を読まなくても受信箱を調べれば、多くの情報が得られる」と発表した。TylerらはHP研究所の電子メール90万通を調べ、メールのやりとりが組織構造やプロジェクトのフローに密接に関連しているとの研究結果を得たという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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