日本オラクルは9日、同社の最新事業戦略に関するセミナーを行った。今年は日本オラクルが設立されて13年目。干支を一周したということで「日本オラクル第2章がはじまった」と、同社取締役専務執行役員の山元賢治氏は冒頭の挨拶にて述べた。その中でも同社が力を入れようとしているのがグリッドコンピューティングへの取り組みだ。
他社の声が大きすぎるためか一般的にあまり目立ってはいないが、オラクルとしても現在多くの企業で謳われているグリッドコンピューティングやユーティリティーコンピューティングへの取り組みは古くからはじまっている。この2つの違いは、「バックエンドのテクノロジー面から見るとグリッドだが、フロントエンドのユーザー側からするとユーティリティーだ」と、日本オラクルマーケティング本部9iビジネス推進グループのシニアマネジャー、杉崎正之氏は説明する。
この取り組みがはじまったのは、米OracleのCEO、Larry Ellison氏が1999年に「ソフトウェアはサービス化される」と語った時だと杉崎氏。それに伴い、ソフトウェアをグリッドモデルに変えていこうという動きがはじまったのだという。そして「Oracle 9iはグリッドコンピューティングに向けての第一のステップだった」と杉崎氏は語る。
具体的には、まずハードウェアにおいて「サーバがブレードに集約されていくだろう」と杉崎氏はいう。ブレードサーバのメリットとしては、高実装密度、低消費電力などがあげられるが、必要に応じてブレードを追加できるという「Pay as you grow」に結びつき、それがグリッドコンピューティングの実現につながることになる。
日本オラクル取締役専務執行役員、山元賢治氏 | |
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また、オラクルではOSにLinuxを推進している。同社は先月14日に「Unbreakable Linux」という新たなLinux戦略を打ち出しているが、これはグリッドコンピューティング時代に向けた同社の取り組みのひとつだと杉崎氏。ほかにも同社ではグリッドの標準化に取り組んでおり、グリッドコンピューティングの標準規格を策定する標準化団体、Global Grid Forumに参加している。その中で実際にオープンソースのグリッドソフトウェアを開発するプロジェクトにも関わっているのだという。
「これからのITインフラの基本は、RAC(Real Application Cluster)+Intel+ブレード+Linux。これが勝利の方程式だ」と語るのは、同社マーケティング本部本部長の清水照久氏。ユーティリティー環境の到来に向け、「RACが存在することがポイント。ここが他社とは違うところだ」と主張する。オラクルの定義するグリッドの中には、「アプリケーショングリッド」「データベースグリッド」「ストレージグリッド」の3つだが、前出の山元氏も「RACはデータベースグリッドというレイヤに対する答えだ。これを提供できるのはオラクルのみ」と語った。
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