「Linuxなら経費を節減できる」:米メリルリンチ

 「Windowsの代わりにLinuxを導入すると、数百万ドルも経費を節約できる」(米Merrill Lynchのグローバルテクノロジー&サービスグループ担当バイスプレジデントのMark Snodgrass)。Merrill LynchがEnterprise Linux Forumで調査結果を米国時間6月6日に発表した。

 Snodgrassによると、「社内の情報インフラを設計し直す際にLinuxを使用すると、管理コストを大幅に削減できることがわかった」という。「Windowsのソフトウェアライセンス費用もLinuxより高いが、従来型Windowsインフラの管理作業に最も多く経費が必要で、とにかく人間に金がかかる」(Snodgrass)

 同社の新しい情報インフラでは、Linuxアプリケーションの多くを、ハイエンドサーバ上の仮想マシンを使って動作させる方針だ。こうした手法を採ることで、管理作業を簡素化できるという。さらに、「Linux“サーバ”を増やしたければ保存しておいた設定済みイメージファイルをコピーするだけなので、最短2分14秒で素早く作業が終わる」(Snodgrass)と述べている。ちなみに同社は、Windowsサーバで同等のファイルシステムを構築すると、ハードウェアの経費として60万ドルかかる上、サーバ管理に5倍の人件費が必要になると試算した。

 Snodgrassは、「我々はLinuxの宣伝をしようとしているわけではなく、単に所有コストをおさえたいだけだ」と述べ、さらに「MicrosoftのExchangeサーバを、同様の機能を持つLinuxベースのソリューションに置き換えると、70〜80%の経費削減になる」と語った。

 しかし、誰もがLinuxにコスト削減効果があることを認めているわけではない。米国の調査会社IDCが2002年に発表した調査報告によると、Microsoft製ソフトウェアを使う場合、5本のうち4本のアプリケーションについて5年間の所有コストがLinuxのそれを下回る。「唯一Linuxの方が安く済むのは、ウェブサーバソフトウェアだけだった」(IDC)

 ただしMerrill Lynch以外の企業も、Linuxで経費削減できるという結論に達している。例えば米Verizon Communicationsは、UNIX系OSとWindowsワークステーションをLinuxシステムに変更したことで、ハードウェアのコストを600万ドル近く節約できたという成果を公表した。また米Amazon.comも、ウェブアプリケーションサーバ用のプラットフォームをUNIX系OSからLinuxに変えたことにより、数100万ドルの節約になったという。

 Snodgrassのグループの次の目標は、Linuxをデスクトップ環境にも展開することだ。Merrill Lynchでは、ハードウェアの仕様条件が最小限で済むシンクライアントをワークステーションとして使う計画を立てている。「ユーザーにとっては何も変わらないが、ユーザーのデータを中央サーバに保存できるので、管理者にとっては維持/管理業務が非常に楽になる」(Snodgrass)

 しかし皮肉なことに、こうしたインフラは何十年も前にあった“メインフレームと端末”という組み合わせによく似ている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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