加カルガリー大学がウィルス作成コースを開講へ

 カナダのカルガリー大学は今秋、カリキュラムの一環として、コンピュータウィルス開発のコースを開講する予定だ。これに対し、アンチウィルスコミュニティでは批判がわき起こっている。

 同校のコンピュータサイエンス学部長のKen Barkerは、「悪意のあるソフトウェアを記述する作者の動機を理解するために、このようなクラスが必要だ」と説明している。また同校によると、ウィルスプログラムの作成に関する情報は、いずれにしろ簡単に入手可能だという。

 ウィルス専門家のFred Cohenは、「教室外にコンピュータウィルスが流出しないように十分な措置を取るなら、学生がウィルスをいじることには意義がある」と主張する。実際、同氏が教鞭を執るニューヘブン大学のクラスでは、大学院生は自分達でウィルスとアンチウィルスプログラムを作成し、ウィルス作成がいかに簡単で、またその感染スピードがいかに速いかを学んでいるという。ただし同氏は、「自分でウィルスプログラムを作成すれば、作者の心理が理解できるとするカルガリー大学の考えには賛成できない」とも述べている。

 カルガリー大学では安全面について、適切な対策を取っており、コースにはクローズドなネットワークを利用する方針だと説明している。学生には、ウィルス感染したコンピュータのある研究室からディスクの持ち出しを禁止するという。

 米Trend MicroのDavid Perryは、ウィルス作成コース開講に異議を唱える1人だ。同氏の考えでは、「悪意のあるコードの大部分は単純であり、ウィルス作成を学ぶ価値はほとんどない」。また、「一般的に言って、世の中にウィルスをばらまく人々は、優れたプログラマーではない。もし優秀なプログラマーならば、どこかでプログラマーの職を得ているはずだ」と述べた。

 Barkerはこれに対して、「このコースの卒業者は、現実問題として、ウィルス作成者という職につけるわけではない。報酬を得るために、ウィルスを書くより、防止する側に進むだろう」と言う。

 しかし、英国のアンチウィルスベンダーSophosは、カルガリー大学のコースの学生を採用しない方針だと発表している。同社の共同最高経営責任者(CEO)の Jan Hruska は、「ウィルスを書いた経験があるならば、Sophosに応募しないことだ。断られるのがおちだからだ。優れたアンチウィルスソフトを書くための能力は、ウィルスを書くのに必要な能力からはほど遠い」と述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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