ドイツのミュンヘン市議会は、導入している1万4000台のコンピュータのオペレーティングシステム(OS)を、現行のMicrosoft WindowsからライバルのLinuxに移行することを票決した。数百万ドル規模の契約にしがみ付こうとしたMicrosoftの努力は、失敗に終わってしまったようだ。
ドイツ第3の都市であるミュンヘンの市議会は28日、今回の移行費を約3000万ユーロと発表した。また、OSを移行するだけでなく、MicrosoftのOffice生産性向上ソフトもオープンソースのOpenOfficeに切り替える予定だ。
ミュンヘン市によると、Microsoftは特別契約や割引を提供し、最高経営責任者(CEO)Steve Ballmerがスイスでのスキー休暇を中断して、Munich市長にこの件で個人的に面会に来るまでして、必至に契約維持を図ったという。
ミュンヘン市は、Windows NTコンピュータのサポート終了という事態に直面し、Microsoft製品ではなくライバルのLinuxとOpenOfficeを採用することにした、と市議会は声明のなかで述べている。同市議会によると、オープンソース製品採用により、コストが低く抑えられたという。
同市議会では、市がLinuxを採用すれば、単独の会社の製品に依存するよりも自由が得られる、としている。ミュンヘン市議会議員Boris Schwartzは、同市の決定がMicrosortの「独占的な立場」を打ち破るものだ、と声明のなかで述べている。
さらに、今回の決定がデスクトップコンピュータに関するものである点も注目に値する。従来、Linuxの人気が高かったのは、主にMicrosoftの市場影響力がそれほど強くない、ネットワーク向けのより強力なサーバコンピュータ分野だったからだ。
ミュンヘン市がオープンソース技術のプロバイダを決定するのは2004年第1四半期の予定。しかしコンピュータメーカーのIBMや、LinuxディストリビュータのSuSEは、ミュンヘン市のパソコン環境移行の評価に協力しており、プロバイダ候補となっている、と両社は話している。
だが、Microsoftのほうも負けを認めたわけではない。「ミュンヘン市に関しては、われわれは今後も密接に協力し、ミュンヘン市の市民・企業のニーズを最も良く満たすプログラムや製品をさらに検討していく」と同社は声明を出している。
なおMicrosoftは、フランクフルト市と契約を結んでおり、ドイツの地方政府に「安価で柔軟性のある条件」で製品を提供するという同社のプログラムに、新たに同市が参加することを指摘している。フランクフルト市長Petra Rothは声明で、この契約により市の経費が節約されると述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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