山岸広太郎(CNET Japan編集部)
2003/05/21 23:20
日本国内でのLinuxサーバ市場は今後どうなるのか。5月21日から始まったLinuxWorld Expo/Tokyo 2003で、IDC Japanのサーバーリサーチマネージャー、塚本卓郎氏が国内Linuxサーバ市場拡大の要因、問題点、今後の展望について語った。
ITデフレが顧客心理にも影響Linuxを含めた国内サーバ市場では1998年ごろからサーバの高性能化が進む一方で価格が低下するというデフレ現象が起きている。出荷台数ベースでは市場は拡大しているが出荷金額は増えていない。
この背景には顧客意識の変化がある。塚本氏によれば「以前はコストに見合うパフォーマンスという考え方だったのが、今はとにかく安くという考え方になっている。ハードウェアのデフレがどんどん進んでいるので、こういうニーズが満たされている」という。
IDCが2003年3月に発表した2002年の国内サーバの出荷台数は全体で40万台。うち30万台をPCサーバ、5万台をUnixサーバが占める。OS別に見るとLinuxがUnixのシェアを奪う傾向があり、2001年にLinuxのシェアが約6%だったのが2002年の第3四半期から第4四半期にかけて7〜8%へと緩やかに拡大している。
とはいえ、欧米と比べると日本でのLinuxサーバ利用はあまり進んでいない。欧米でのLinuxサーバシェアは日本の倍で15%程度。一方、欧米でのWindowsサーバのシェアが60%台なのに対して、日本では76〜8%と寡占状態になっている。この原因として、Linuxの認知が相対的に低いことや業務アプリケーションのLinux対応の遅れ、オフコンやメインフレームなどの独自市場の存在が原因だと塚本氏は指摘する。
しかし、ユーザーがコストを重視するようになってきていることや、オープンシステムの普及、そして認知度の向上やビジネス用のディストリビューションパッケージの増加などを考えると「今後はLinux市場が伸びる余地はある」と塚本氏。
2004年の後半にLinuxがUnixを抜くIDCの予測ではLinuxサーバ市場の出荷台数は年22%で成長し、シェアは2003年以上毎年2ポイントずつ拡大。2007年にはLinuxサーバ出荷台数シェアは15.9%に達する。「日本の場合、一度使ったOSを他のものに切り替えることは少ないのでWindowsのシェアが急に落ちることはないが、IAサーバの普及によって2004年の後半にはUnixを抜いて10%台になる」と塚本氏は解説する。また「今年の第1四半期の様子を見るとLinuxのシェアはこの予測より更に伸びるかもしれない。シェアが10%を超えれば1つの勢力として認知できる」という。
塚本氏によれば、アプリケーションの視点から見て、Linuxには3つの市場があるという。ネットワークインフラ、科学技術計算、そしてビジネスアプリケーションだ。
ネットワークインフラ市場では初期コストが安いというLinuxの利点が効いて導入が進むという。主要顧客は流通、通信、サービス、地方官公庁などだが単価が低いために市場規模は中程度だという。エントリーレベルのUnixサーバやWindowsサーバが競合する。
科学技術計算システム市場での主要顧客は官公庁関連の研究施設や教育機関が多い。「5つか6つの研究機関がLinuxを中心にシステムを組むことを明らかにしているが今後もこの傾向は増えるだろう」と塚本氏はいう。競合はUnixサーバだが、IAサーバが性能が向上しているので、Linuxに有利に働く。市場規模は小さいがLinuxがアドバンテージを取りやすい市場だという。
ビジネスアプリケーション市場ではLinuxが苦戦Linuxが唯一苦戦するのはビジネスアプリケーション市場。企業の場合Linuxを使っても運用管理コストが高く、Linuxの安価な導入コストというメリットがあまり生きないという。
ビジネスアプリケーション市場でLinuxが拡大するためには、OSの機能向上や信頼性の向上などのソフトウェアの面とユーザーサポート体制の確立などサービス面の整備が重要だと塚本氏は指摘する。塚本氏によれば「企業の中にはUnixが使えるエンジニアがいれば、Linuxも大丈夫だろうという認識があるが、ミッションクリティカルなビジネスアプリケーションを運用するにはLinuxに熟達したエンジニアの育成が不可欠」だという。
プラットフォームベンダーとソリューションベンダーがサポートやインテグレーションでしっかり協力できる体制を構築し、その結果、システム導入が増加し、ユーザーからベンダーへのフィードバックが増えて製品やサービスが向上するという良い連鎖が生まれるかどうかがLinux拡大の鍵となる。
Linuxサーバの用途はネットワークとデータベース塚本氏がユーザー企業を対象に行ったアンケートによると、Linuxサーバの用途で最も多いのがネットワークで約40%、ついで多いのがデータベースの約27%だった。「この数字はちょっと予想以上だったが、確かにデータベース利用は増えている。私の調査でもデータベースサーバ用のOSにおけるミラクル・リナックスのシェアが増えている」と塚本氏は言う。一方で、Windowsサーバの場合はアプリケーションの利用が約57%と最も多い。Unixはデータベースサーバとしての利用が41%で最も多いが、「LinuxはUnixサーバと同じようにデータベースサーバとしての利用が増える」と塚本氏は予測する。
塚本氏は「ミッションクリティカルなビジネスアプリケーションシステム市場へのLinux普及は時間がかかる。まずネットワークとデータベースでの普及を拡大することが重要だ。大手のシステムインテグレーターに話を聞いた感じでは、今後各社のLinuxサポートが拡大しそうだ。今年の後半からLinux市場の拡大率はより上向きに変わってくるであろう」と述べ、講演を締めくくった。
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