MicrosoftがSCO GroupからUnix技術のライセンスを取得したことで、SCOは自社の知的所有権に関する主張について、Microsoftの後押しを受けることになる。またMicrosoftとっては、この契約がWindowsの脅威となりつつあるLinuxと戦う上で有利に作用する、とアナリストらは言う。
SCOは米国時間5月19日、MicrosoftがUnixオペレーティングシステム(OS)に関する特許とソースコードのライセンスを取得したと発表した。Microsoftの代表によると、このライセンスは、同社製ソフトウェアがSCOの知的所有権を遵守し、MicrosoftがUnixソフトウェアとの互換性を必ず持てるよう保証するものだという。
また今回の契約で、Unixソースコードの少なくない部分がLinuxにコピーされたとするSCOの訴えに対する信憑性が増したようにもみえる。MicrosoftがSCOとライセンス契約を結んだことで、これに追従する動きを見せる企業が雪だるま式に増える可能性もある、と業界専門家は述べている。
SCOの知的所有権部門総合責任者Chris Sontagは、Microsoftとのライセンス契約は、同社がIBMを相手取って起こしている、知的所有権訴訟の力を反映したものだ、と話している。
SCOとMicrosoftの契約は、広報的な意味合いでより注目に値する、という業界専門家もいる。「今回の発表は、実は2つの役割を果たしている。まずMicrosoftは、競合するLinux陣営よりも、一時的に道徳的優位な立場にたてる。そしてSCOは、同社がIBMを訴えている知的所有権訴訟で、IBMに打撃を与えることになる」(RedMonkアナリストのStephen O'Grady)
SCOは、Microsoftとの契約により、訴訟を継続できるだけの財源を確保できるので、同社の知的所有権主張はますます熱を帯びるだろう。
今回の契約について、条件は発表されていない。SCOのSontagによると、同社が以前行なったライセンス契約では、800〜1000万ドルの収入があったという。
「Microsoftは、ライセンス取得という事実を利用して、Linuxに付きまとう恐れや不確かさ、疑念などをかき立てることができるようになった。Microsoftにしてみれば、確かにこれは、攻勢というより防衛的な動きだ。しかし、それでもこれを製品の販売やマーケティングに利用できないというわけではない」と、IlluminataのアナリストGordon Haffは述べている。
LinuxのDebianディストリビューション開発に携わり、現在はオープンソース陣営の非公式なスポークスマンとなっているBruce Perensは、今回の契約が「MicrosoftのアンチLinuxの立場」に利するものとコメント。さらに、「Linuxは怖くて、あてにならず、胡散臭いもの」というイメージを広めるのに利用されるだろうと付け加えた。
さらにPerensは、彼の抱いていた疑念、つまり「SCOの一連の行動の裏では、Microsoftが糸を引いている」との考えを、今回の契約が裏付けたとも語った。「SCOを巡る騒動は、他の何物にも増して、Micorosoftに利をもたらす。実際に彼らはUnix関連の製品を少しつくっているけれど、でも大した数ではない」(Perens)。なお、Microsoftではこの疑いを否定している。
「これは、他社を脅かして、SCOからのロイヤリティ支払い請求に応じさせることを狙った、象徴的な行為という意味合いのほうが強い」とPerens。「だが、私には、そうすることが却ってSCOの立場を弱めると思える。SCOとMicrosoftは最初からグルだったのではないかという印象を与えてしまうからだ」(Perens)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス