「オンデマンドコンピューティングが普及すれば、これまでテクノロジー業界が当てにしてきた、数年に一度のコンピュータシステムの更新サイクルなど、遠い過去の遺物となるだろう」。
IBM CEOのSam Palmisanoは、ボストンで開かれた同社の春季証券アナリストミーティングの席上でこう語り、さらに「大口の法人顧客はもはやPCや最新のサーバといったハードに対して投資する意欲を失っている」と付け加えた。
その反面で、こうした企業の間では、ビジネスプロセスの自動化や、業務全体の効率化に役立つようなソフトウェア、コンサルティングサービス、バックエンド用のハードウェアなどを、ひとまとめにして購入するというニーズが高まっているという。別の言い方をすると、これはIBMが得意としているビジネス分野のニーズが伸びているということである。
「これまではずっと、製品ありきでハードが牽引する成長が続いていた。だが、そんなことは二度と起こらないだろう」とPalmisano。「テクノロジー業界は今後も成長を続けるが、それは生産性向上というとても重要な問題への解決策を提供するからだ」。
さらにPalmisanoは、大企業が社内でのテクノロジー開発プロジェクトに、再び資金を注ぎ込んでいる、と付け加えた。
「プロジェクトがまた動き出したせいで、一年前と比べれば多額の資金が投下されている。状況は安定化した」とPalmisano。
昨年IBMのCEOに就任して以来、Palmisanoはオンディマンドコンピューティングと名付けた戦略を前面に打ち出してきている。これは、大企業がIT技術を使った、既存のビジネス上の問題に対する包括的な解決策を提供するというものだ。
「こうしたソリューションがどう実装されるかは、顧客企業やその企業が属する業界によってさまざまだ。利用中のIT技術を全面的に刷新する場合もあれば、ピーク時の需要に対応するために、追加のコンピューティング能力を一時的に借りれば済むという場合もある」と、Palmisanoはいう。
こうしたトレンドの結果、それに対応する有機的に結びついたシステムを構築するための、コンサルティングとソフトウェアが、IT業界のなかでもますます大きな利益を生み出すようになっている。2005年までには、IT企業の収益構造のうち、これらのサービス部門のシェアが、現在の46%から65%に上昇。その一方で、サーバやストレージ、PC、その他のコンポーネントが占める割合は、54%から35%に減少すると予想されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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