5月2日、SCO Groupのウェブサイトにデータトラフィックが殺到し、数時間にわたり同サイトにアクセスできなくなる事態が生じた、と同社が発表した。UnixおよびLinuxディストリビュータのSCOは、現在同社がIBMを訴えている訴訟の所為で、Linux愛好家らから非難を浴びせられている。
SCO広報担当のBlake Stowellによると、SCOは2日午前10時45分、分散サービス拒否攻撃(DDoS)を受け、インターネット業務が妨害されたという。DDoS攻撃は、多数のコンピュータからネットワーク経由で同時に大量のデータを送信する攻撃。ターゲットのシステムは、大量に押しよせるトラフィックを処理しようとするため、システムが非常に重くなってしまう。
Stowellは、攻撃を行なった人物および攻撃理由についての情報は全くないが、SCOは、多数の熱狂的Linuxファンから、同社がIBMを訴えている訴訟についてひどく怒りを買っている、と述べた。SCOは、IBMを相手取り、SCOが所有するUnix知的所有権を、同社がオープンソースのLinuxで利用したとして10億ドル以上の損害賠償を求める裁判を起こした。SCO最高経営責任者(CEO)Darl McBrideは1日、UnixソースコードがLinuxに一行ごとにそっくりコピーされたと述べている。
オープンソース陣営のBruce PerensやEric Raymondらは非公式なコメントとして、このような訴訟は自暴自棄的だと非難し、Linuxコミュニティのなかには彼らを軽蔑して荒々しい行為に出ている者もいる、と述べた。
だがDDoS攻撃は卑怯な行為だ、とStowellは言う。「SCOの訴訟や、Linux内に存在するコードに関するSCOの立場について不平苦情を述べることと、プロとはいえない非倫理的なやり方に訴えることとは、全く別の話だ」(Stowell)
今回の攻撃が本当に報復攻撃だったとすれば、このような行為は以前に何度も行なわれている。音楽ファイル交換の厳重な取り締まりで不評を買っている全米レコード工業会(RIAA)は、ウェブサイトを攻撃されたことがある。
イラク戦争の最中には、アラビア語ニュースサイトAl Jazeeraが、トラフィック氾濫のためほとんどアクセス不能となった。2年前にはホワイトハウスでも大量トラフィック攻撃を受け、アクセスできなくなる事態があった。
この手の攻撃は非常に多いが、報告されないケースがしばしばある。インターネット・トラフィックについての2年前の調査では、毎週、約4000もの攻撃が、1攻撃あたり10分以上にわたって行なわれているという。
SCOのインターネットサービスプロバイダー、ViaWestは、攻撃によって同社の全帯域の約90%に相当する、約100本の高速T1データ転送回線が使用された、とSCOに伝えた。「大規模で、非常に組織化されたDDoS攻撃だった」とViaWestはSCOに述べている。
ViaWestは、攻撃データの排除を行い、SCOのウェブサイトは午後4時に復旧した、とStowellは述べた。
ViaWestによると、攻撃に加わったマシンは全部で138台だという。これらは前もってDDoSプログラムに感染していたマシンで、合図によって一斉に攻撃を始めたと見られている。SCOによると、今回の攻撃は、ViaWestが今までに経験したなかで2番目に大規模だったという。
米連邦地検は現在、今回の攻撃を調査中で、米連邦捜査局(FBI)のサイバー犯罪部門には攻撃の詳細情報が提供されている、とSCOは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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