市場調査会社の米ZapThinkは、EAI(企業アプリケーション統合)ソフトウェア市場が衰退する運命にあると予測する。その要因となるのは、ビジネスプロセス技術を利用したWebサービス市場の拡大である。
ZapThinkによると、異なる2つのシステムを接続するサービス指向のプロセスツール市場は、現在の1億2000万ドル規模から5年後には83億ドル規模へと、爆発的な成長を遂げる。
サービス指向のアーキテクチャでは、データ交換にXMLやWebサービスを利用する。特定のアプリケーションと連携することを前提とした従来のアーキテクチャと異なり、柔軟性に富んでいるのが特徴である。このように「緩やかに」接続されたアプリケーションの場合、複数のアプリケーションやソース間で比較的簡単にデータを共有できる。また、あるソフトウェアモジュールを変更しても、接続された別のソフトウェアシステムに問題が生じることはない。
従来のアプリケーション統合ミドルウェアは、あるアプリケーションの情報を、別のアプリケーションに取り込むことを主眼としていた。ビジネスプロセスやWebサービスなど、アプリケーション統合の代替手段が出現したことで、EAIだけを扱うベンダーは窮地に陥る可能性がある。
「EAIベンダーは確かに、アプリケーション同士を連携する必要がある企業に、現実的なソリューションを提供している。しかし、ビジネスプロセスやWebサービスを利用したデータ共有が普及すれば、後工程として行うアプリケーションの統合は不要になるだろう」(ZapThinkのRonald Schmelzer)
EAIベンダーの中には、オプションでWebサービスプロトコルを提供したり、ビジネスプロセスのモデリングツールを提供するなど、路線変更を行うベンダーも増えている。Schmelzerは、「サービス指向のアーキテクチャの普及によって、スタンドアロンのEAIだけを扱うベンダーは、厳しい価格競争にさらされる」とみている。
また同氏は、ビジネスプロセスツール関連の標準が、徐々に融合すると予測している。現在、サービス指向のプロセスに関する標準としては、BPEL(Business Process Execution Language for Web Services)、BPML(Business Process Modeling Language)、WSCI(Web Service Choreography Interface)などがある。
ちなみに、最近このような標準の維持/管理をめぐって、標準化団体同士の小競り合いが起きている。Microsoft、IBM、BEA Systemsは今週、BPELをXML関連の標準化団体OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)に提出し、WWW関連技術の標準化を進めるW3C(World Wide Web Consortium)の協力要請を袖にした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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