サン・マイクロシステムズは4月17日に都内で説明会を開き、米Sun Microsystemsプロセッサ・ネットワークプロダクツ部門のバイスプレジデントであるDavid W. Yen氏が同社の掲げる「スループットコンピューティング」構想に関して講演を行った。
スループットコンピューティング構想は、2003年の2月に米国のアナリスト向け説明会で公表されたサンのマイクロプロセッサ戦略。ネットワークコンピューティングに特化し、処理パフォーマンスの向上に重点を置くというものだ。Yen氏によると、YahooやAmazon、eBayといった企業は現在、同時に膨大な量の処理を行う必要があり、サーバにおけるスループットの向上が求められているという。また、「半導体に集積されるトランジスタの数は2年ごとに倍増する」というムーアの法則に従って、1つのチップに搭載されるトランジスタの量が多くなっている。現在でも数億個、2007年には10億個以上のトランジスタが1つのチップに搭載されるという。このため設計が複雑になっており、技術者の大きな悩みとなっている。
米Sun Microsystems プロセッサ・ネットワークプロダクツ部門バイスプレジデント David W. Yen氏 | |
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そこでサンでは、プロセッサコアを小型・単純化して1つのチップに複数のコアを搭載し、それぞれのコアが複数のスレッドを処理することで、スループットの量を上げる計画だ。「コアがシリコンダイ面積を100%使ったときの性能に比べ、10%〜15%の大きさであっても、その約50%の能力が出せる」(Yen氏)。つまり、半分の性能を持つ小さいコアを複数搭載すれば、今まで以上の処理能力をもつプロセッサができるというわけだ。
これを本格的に実現するのが、2005年に発売予定のNiagara(開発名)だ。同氏によると、Niagaraは1つのチップ上に8つのコアを搭載し、それぞれ4つのスレッドを同時処理することができる。結果としてNiagaraは現在のプロセッサの15倍のスループットを実現するという。
また、Yen氏は講演の中で、ライバルのインテルも1つのチップに2つのコアを搭載したデュアルコアプロセッサを開発していることに触れ、「インテルはプロセッサの企業であり、サンはシステムの企業である。インテルはシステムの全体像を見られる立場にはなく、問題に対して部分的に対処しているに過ぎない。また、インテルはOSを持っておらず、システムを実現できない」として、両社を比べることに意味はないとした。同氏によると、サンはネットワークコンピューティングを追及しており、ローエンドサーバ向けシングルプロセッサなどの開発は考えていないという。こういった分野に関しては、インテルのItaniumなどを採用することもあるとしている。
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