米Microsoftは14日(米国時間)、次期バージョン以降のWindowsに関するの計画の詳細を発表する予定だが、この中には簡単にウイルスを検知・分離できるようにする機能も盛り込まれる。同社ではまた、Microsoft Word 2003やExchange 2003に、ウイルスやスパムメールの混入を知らせる新たな機能も、今週San Franciscoで開催されるRSA Conference 2003において披露する。
Windows Filtering Manager Architectureと名付けられたこの新機能は、Windowsに追加される一連のapplication protocol interface (API)で、ウイルス対策ソフトのタスクのうち基本的な部分を含むもの。「たとえばアプリケーションがハードディスク・スキャンというタスクをどう設定するかなど、普通の事柄ならこれでできてしまう」とMicrosoftでセキュリティビジネス部門のシニアディレクターを務めるJonathan Pereraは語る。「Filter Managerはある意味でプリンタ・ドライバーに起こったのと同じような変化をもたらす。つまり以前はドライバソフトをプリンタメーカーがそれぞれ独自に書いていたが、いまではどこも共通のAPIセットを使うようになった。それと同じ変化がウイルス対策ソフトにも起こり、開発者は短時間で製品を市場に出せるようになる」(同氏)。
またFilter ManagerがWindowsに組み込まれると、これまで難しかった1台のPCでの2種類のウイルス対策併用が可能になり、双方の良い部分を合わせて使えるようになる。
Microsoftは最近になって、PC Stationというソフトウェアパッケージを開発者向けに出荷したが、この中には機能強化されたWindows antivirus protectionというデスクトップ・ファイヤウォールソフト、ならびにPCが自動的にローカルマシンのデータをCDに記録するようにする別のアプリケーションが含まれている。
すでに1年以上にわたって、Microsoftはセキュリティ問題を最優先課題として取り組んできている。自社製品に新たなバグが見つかると、頻繁に対応パッチを公開し、またTrustworthy Computing Initiativeの一環として、組織を再編し、全製品にセキュリティ機能が確実に盛り込まれるようにした。
さらにIntel、IBMをはじめとする各社とともに、ハードウェア、ソフトウェアの両面でのセキュリティ向上に取り組んでいる。
Filter Managerはまだ実験開発段階にあり、製品リリースのめどは立っていない。これは、Windows XP開発の中で発展してきたもので、今後登場予定のPalladiumのコードネームで呼ばれていたセキュリティシステムとはまた別のものになる。新バージョンのWindowsあるいはサービスパックの一部として提供される見込みだ。
Filter Managerに対する世間の反応は今後徐々に明らかになるだろう。Microsoftが新たな製品を発表すると、かならずその分野の市場を乗っ取る企てだと非難を浴びせる人も多い。だが、セキュリティ問題は、個人ユーザーにも企業ユーザーにも共通する第一の関心事になっている。そして、McAfee Securityのように、主要な開発者のなかにはFilter Manager技術の支持を表明している企業もある。
いっぽう、WordとExchangeに盛り込まれる新セキュリティ機能は今年中盤以降に登場予定で、新バージョンのWordでは、XMLのコードを含んだドキュメントすべてのヘッダ部分にフラグが立つようになる。アンチウイルスソフトが、このフラグを識別して問題を引き起こしそうな部分を特定しやすくするという仕組みだ。
Exchangeのほうには、スパムやウイルスに感染したメールを、いまより上手に検知・削除するツールが盛り込まれる。このツールは受信したメールに問題がないかどうかを判断するために、メールの中身を調べ、その危険度を知らせる。これで、例えば外国の軍事関係者から届いたメールが大文字で書かれていた場合には、フラグが立つこともあるかもしれないと同社関係者は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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