「オープンソース系の人たちが、ビジネスがどんなものかをもっとよく理解すれば、顧客である大企業にオープンソースソフトを採用してもらうのも、ずっと簡単になる」。
米国時間4月10〜12日に、カリフォルニア州サンノゼで開かれたMySQLユーザーカンファレンスの席上で、米Sun MicrosystemsおよびスウェーデンMySQLの幹部は、参加者に向けてこんなメッセージを伝えた。MySQLはオープンソースのデータベースソフトを開発しており、Oracle、IBM、Microsoftなどの大手メーカーが支配する大企業向け市場に食い込みを図ろうとしている。
Sunでソフトウェア部門の最高技術責任者代理を務めるRick Cattellは、基調講演の中で、「大企業を顧客とするマーケットで成功するためには、優れたソフトウェアを提供するだけでは不十分」と語った。
Cattellは、「企業のCIO(最高情報責任者)は、今後非常に慎重な態度をとるようになるだろう」と述べ、「主要ベンダー各社のサポートと保証がなければ、企業が最新のオープンソース技術を採用することはないだろう」とも付け加えた。また、オープンソース系企業はアプリケーションが確実に顧客の手に渡るようにしなくてはならないとも語った。
「利他的な企てとしてオープンソースの開発を追及するのも結構。だが、あなたの上司はそれでお金も儲けたがっているのだ」とCattell。
なお、CattellはMySQLについて具体的には何も言及しなかった。そのため、聴衆の1人がしびれを切らし、データベース分野に関するSunの計画はどうなっているのかと質問する一幕もあった。これに対しCattellは、次ぎのように返答した。「すでにMySQLを搭載したLinuxマシンを一部出荷している。今後の戦略については概要を検討しているところだ。」
「SunはMySQLの大ファンだし、、私自身もMySQLが大好きだ。みなさんがOracleに立ち向かっているのはとても素晴らしいことだと思う」(Cattell)
一時は反Microsoft陣営で緊密に連携していたOracleとSunだが、最近は微妙な関係になっている。原因のひとつには、MicrosoftのWindowsに対抗するOSの供給者としてSunに依存していたOracleが、その役割を担う代替物としてLinuxを使うようになった点がある。
今回が初めてとなる同会議で、MySQLは同社製品MySQL 5.0のソースコードを公開したが、同社ではこの製品について、企業マーケット向けの初めてのソフトウェアと説明している。
MySQLのCEO(最高経営責任者)を勤めるMarten Mickosは、オープンソースのデータベース・ソフトウェアはLinuxと同じように、いずれ多くの大企業によって採用されるようになると見込んでいるようだ。ただし、「大企業が本格的にMySQLを採用するまでにはまだ時間がかかる」(同氏)と認めている。
MySQLによると、MySQL製品の無償版はこれまで400万人にインストールされ、また有償版には4000人のユーザーがいるという。同社では、有償と無償という二段構えのライセンス体系を採用しており、無償版ではソースコードを改変した場合、その内容を公開する必要があるが、有償版は改変内容を公表する必要はない。なお、GoogleやYahoo!も同社の製品を利用して自社サイトの一部を運用している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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