AMDは米国時間4月2日、新たに開発したFD-SOI(Fully-Depleted Silicon-on-Insulator)トランジスタと、ストレインド・シリコン・トランジスタを披露した。これらのトランジスタにより、チップ性能が大幅に向上するという。
FD-SOIトランジスタのSOI(シリコン絶縁膜構造)は、完全空乏型と呼ばれる手法を用いる。AMDが今回開発したトランジスタは、「これまでに発表されている結果と比べて、最大30%高速」(AMD)としている。
同時に発表したストレインド・シリコン・トランジスタは金属ゲートがベースとなっている。しかし、どの種類の金属が使用されたかは明らかにしていない。このトランジスタは、「従来のストレインド・シリコン・トランジスタを20〜25%上回る高性能を実現する」(AMD)という。
これらのトランジスタ設計はまだ研究/試験段階のため、発売間近のチップで導入する予定はないという。「今回の2つのトランジスタは、AMDの2005〜2010年のチップ製造で活躍するだろう」(AMD)
通常、チップメーカーは新プロセッサの性能を高めようと、小型トランジスタを数多くチップに搭載する。いわゆるムーアの法則にしたがったものだ。しかし、トランジスタの小型化・高集積度が進むにつれ、漏電や混信などの問題を抱えるようになった。これに対して、AMDやIntel、IBMは新しい材質を利用したトランジスタの研究を進めており、さらに潜在的な障害を克服するため、新たに複数ゲートトランジスタを開発している。
「AMDは、電流漏えいや電圧を抑えた高性能トランジスタの研究において、最前線に立っている。顧客が要望するソリューションをAMDのプロセッサ設計チームが実現できるよう、開発基盤を提供していく」(AMDのプロセス・テクノロジー・デベロップメント部門バイスプレジデント、Craig Sander)
AMDは、今回発表した2種類のトランジスタの詳しい研究結果を、6月に京都で開催されるVLSI Symposiumで発表するとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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