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「メールだけではない」--次はIMも企業の監視対象に

2004/11/01 19:59
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 従業員の行動を監視するためにモニタリングソフトウェアを導入する企業が増えるなか、それらの監視ツールを提供するベンダ各社は、ちょっとした好景気に沸いている。だがいっぽうでは、パーティションで仕切られた空間からプライバシーが失われる可能性も懸念されている。

 これまで企業は監視カメラや通話内容のモニタリングを通して、従業員の日常的な仕事振りをチェックしてきた。しかし、電子メールやIM(インスタントメッセージ)の内容を保存したり、従業員のキー入力を記録する技術が登場したおかげで、企業側はかつてないほど進んだ従業員監視を行えるようになっている。

 インターネット監視ツールを提供するWebsenseの株価は、この1年間でほぼ倍増(ただし2週間前にわずかに値下がりした)。この市場の大手プレイヤーとしては、同社のほかSurfControlやSecure Computingが挙げられる。

 「これらの企業すべてに高い需要があると思う」とJefferies & Co.のアナリストKatherine Egbertは言う。「(米国には)企業が遵守しなければならないさまざまな法規制があり、それに対応するための締め切りが近づいていることなどが、売上を後押ししているようだ」(Egbert)

 ここでいう法規制には、「Sarbanes-Oxley Act」に基づいた会計報告ルールや、ヘルスケアにおけるプライバシー保護を規定した「Health Insurance Portability and Accountability Act(HIPPA)」などが含まれる。

 セクハラなど職場環境に関する訴訟でコンピュータの記録を証拠として扱う弁護士が増えていることから、従業員の電子メールやIMを記録することの法的な重要性も認識されつつある。MicrosoftのBill Gates会長ですら、社内メールで送ったメッセージを後に法廷で取り上げられてしまい、バツの悪い思いをしたことがある。

 「生産性向上に興味を持つ企業は多い。機密情報の漏洩やを心配する人も相変わらずたくさんいる。彼らにとって、セキュリティの侵害も大問題だ。しかし、企業側が最も関心を寄せているのは、法的責任を問われた場合の対処だ。彼らはは訴えられることを恐れている」とePolicy InstituteのエグゼクティブディレクターNancy Flynnはいう。ePolicy Instituteは先ごろ、American Management Association(AMA)と共同で、職場における電子メールとIMの監視状況についての調査を行い、その結果をレポートにまとめている。

 「今では、職場環境に関する訴訟のほぼ全てで、電子メールが証拠として法廷に提出されている。そのうち、IMのメッセージも当たり前のように証拠として提出されるようになるだろう」(Flynn)。

照準はIMに

 ePolicyとAMAの共同調査結果によると、米国企業の60%がソフトウェアを使って従業員の外部との電子メールのやりとりを監視しているのに対し、従業員同士の内部のやりとりを監視している企業は27%だという。また、IMの監視については比較的対応が遅れているようだ。PC上でのチャットを監視していると回答した企業の割合は10%にとどまっている。

 「業界の推定によると、2005年末までには、IMの方が電子メールより職場でよく使われるツールになるという。IMは急速に普及しつつあり、その点を考慮すると、企業各社は今、自社のポリシーと監視ソフトウェアに関して必要な対策を講じなければならない」(Flynn)

 業界関係者や法律の専門家らは、ソフトウェアダウンロードの監視も優先課題に挙がっているという。

 2002年にアリゾナ州のある企業が自社のコンピュータシステムに保存されていたMP3ファイルについて著作権侵害の罪に問われ、音楽業界に100万ドルを支払ったことがあった。それ以来、多くの企業は職場でのファイル交換ソフトウェアの利用を禁止し、ネットワークトラフィック管理ソフトウェアを導入して、違反している者がいないかを監視するようになっている。

 このような状況であるにもかかわらず、業界に参入する企業は少ない。この業界では、今年はむしろ、企業の整理統合が進んでいるとEgbertは述べる。最近では、Blue CoatがCerberianを、CyberGuardがWebwasherを、Internet Security SystemsはCobionを買収している。

 大手プレイヤーの1社であるWebsenseの業績は上々だ。同社の売上は、2003年第2四半期の1950万ドルから、2004年第2四半期には2660万ドルまで増加した。また同四半期における純利益は、1株あたり19セントから25セントに上昇した。アナリストらは、同社が今後3年間、年間成長率25%で推移するものと予測していた。

 ただし先ごろ、Websenseの新規株式公開(IPO)でアンダーライター(引受会社)を務めたJPMorganが、同社株式に対する評価を引き下げたことから、同社に対する期待感は低下している。

プライバシーの懸念

 成長のスピードが速いにも関わらず、同業界は通信プライバシーに関する法律的な解釈をめぐる問題にも直面している。

 これまでの裁判では通常、雇用主は自身が所有する機器の社内での利用状況を監視する権利を認められてきた。この対象のなかには、電話やコンピュータシステムも含まれる。しかし、法律の専門家たちは、従業員の通信を監視することに関する法律は、意外と複雑だと述べる。

 「米国の通信傍受法によれば、電子メールやIMなどの通信の内容を傍受する行為は違法になる。法律を一見したところでは、このように解釈できるのだ。しかし、法廷では、保管された電子メールを見ることは、通信傍受法違反でないという裁定が下されている」と法律事務所Littler Mendelsonに所属する弁護士でプライバシー擁護団体の会長を務めるPhilip Gordonは述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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